2004 Fiscal Year Annual Research Report
非主我的愛の成立基盤としての修道院霊性に関する研究
Project/Area Number |
15520004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑原 直己 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (20178156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 学 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (80231843)
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Keywords | 愛 / 正義 / 神化 / ニケタス・ステタトス / 東方修道制 / 神の像 / クレメンス / フィロカリア |
Research Abstract |
研究代表者である桑原は、昨年度提出・学位取得した博士論文をもとに、研究成果促進費の交付を受けて『トマス・アクィナスにおける「愛」と「正義」』を出版し、本研究にとっても基礎となる自らの知見を世に問うた。本年度は、特に東方修道制における霊性に視野を広げることを心がけ、かねてより分担していた『フィロカリア』の翻訳作業を進めると同時に、担当していた11世紀の神学者にして東方ストゥディオス修道院の修道士であったニケタス・ステタトスの霊性観について、東方キリスト教学会で研究発表を行い、さらには同学会誌『エイコーン』に論文として発表した。また、同学会の他、環太平洋西岸教父学会等の学会において、主としてギリシア教父から東方修道制への展開についての研究発表をめぐって質疑・討論に参加し、その方面についての知見を深めた。また、桑原にとっての専門的知見の基盤であるトマス・アクィナスについては、東方修道制の霊性の影響とされている「神化deificatio」の意義を解明すべく、『神学大全』における「神の像imago Dei」の概念についての研究を論文としてまとめた。また、本年は桑原にとって最も専門的な学会である中世哲学会を筑波大学で開催するとともに、研究分担者である秋山と協力して同学会の会期にあわせて開催した筑波大学付属図書館特別展「オリエントの歴史と文化-古代学の形成と展開-」の企画に参画し、主として同学会員・本学関係者に対して、旧約聖書以来の文献の歴史とその伝承者としての修道院の意義を明らかにすることに努めた。秋山は、同特別展を中心的に企画するとともに、初期ギリシア教父であるアレクサンドリアのクレメンスの教育思想、東方の教会法など、主題的な研究対象としてギリシア教父から東方修道制にかけての展開についての研究を進めつつある。
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Research Products
(6 results)