2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水上 雅晴 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (60261260)
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Keywords | 幕友 / 科挙 / 考証学 / 代作 / 学術情報伝達 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に続き、清代に書かれた伝記資料・学術的著作をはじめとする各種の文献資料の中から、当時の幕府と学術の関係を考察するうえで参考となる文章を抽出し、それらを電子テキスト化し、分類整理する作業を行なった。それと併せて、これまで得られた情報をもとに幕府と学術との関係について考察を深めた。具体的作業内容及び考察内容は下記の通り。 1.清代の代表的な幕府の学術的活動内容を整理するとともに、それぞれの幕府に所属した幕友がそれらの事業にどのように関わっていたかについて調査した。 2.幕友の生活実態については、従来ほとんど明らかにされてこなかったが、諸資料からこれまで指摘されていない多くの事実を発掘した。 3.幕友という職業の社会的地位に対する当時の通念及び現在の見解について検討を加え、これまでの通説に修正を要する部分があることを見出だした。 上記の作業及び考察をもとに、論文「清代知識人の游幕と科擧に關する初歩的考察」を著した。 これまで、清代の幕友については、科挙合格を通じた立身出世を諦めた人々が就く職業だと見なされてきた。しかし、年譜などの詳細な伝記資料を調べると、事実はむしろそれとは逆で、経済的に恵まれない知識人が、長期にわたる科挙受験を経済面で支える手段として選んだ職業が幕友であったことが解明された。同時に、当時の知識人のかなりの部分が幕友として活動した経験を持つと推測されるが、その実態の全面的な解明は困難であること、及びその原因が幕友という社会的地位に対する当時の位置づけが低かったことに在ることがわかった。 以上の事柄を論じた本論文は、本研究成果の一部として、平成17年3月刊行の『中国哲学』第33号に掲載される。
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Research Products
(1 results)