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2004 Fiscal Year Annual Research Report

近代中国における国学の研究

Research Project

Project/Area Number 15520037
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

末岡 宏  富山大学, 人文学部, 助教授 (10252404)

Keywords中国 / 国学 / 日本 / 伝統思想 / 西洋文化受容
Research Abstract

近代中国において、進化論をはじめとする西洋の学術の紹介者として評価されている厳復の初期の代表的著作「原強」「論世変之亟」に見られる中体西用論批判の論理構造を分析した。その結果以下のことがわかった。
1.厳復は従来考えられてきたように、中国の伝統学術を全面的に否定してはいない
2.中国の伝統的学術体系と西洋の学術体系を結びつけることの論理的な矛盾を批判している
3.中国の伝統文化と西洋の学術体系は矛眉なく両立しうるものであると考えている
つまり、西洋の学術・文化の意義を認めた上で、中国の伝統学術・文化に独自の価値を認めている点で、国学形成の一つの要因となりうるであろう。ただ国学が西洋の学術の方法論をとり入れた上で中国の伝統的な学術体系の再構築をはかっているのに対して、厳復においては両者は全く別個に存在している点が異なる。
国学の創始者の一人、王国維の初期の哲学関係の著作「論性」「釈理」「原命」における中国の哲学概念分析の手法を分析した結果、以下のことがわかった。
1.王国維の初期の哲学関係の著作は、当時の日本における哲学研究に大きく依存している
2.当初は西洋哲学書の日本語訳を資料としていたが、日本留学前後から原典を英語で読むようになっている
3.当初は日本の中国哲学の概念の分析の結果をとり込んでいたが、やがてその手法を取り入れた独自の研究を行っている
4.中国哲学に関する分析より、西洋哲学に関する分析の部分の比重が徐々に高まっている
つまり、中国哲学研究に西洋哲学の手法を取り入れようとしたが、結果として西洋哲学の手法を取り入れることでは中国の伝統思想を明らかにできないことがわかったのではないか。このことが、国維がその後歴史研究に「転向」する要因となったのであり、中国の「国学」成立につながったのであろう。

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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