2004 Fiscal Year Annual Research Report
東北における徂徠学の継承と変化について-庄内藩学を中心として
Project/Area Number |
15520043
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
瀬尾 邦雄 茨城工業高等専門学校, 人文科学科, 助教授 (90280338)
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Keywords | 答問書 / 荻生徂徠 / 水野元朗 / 庄内藩学 / 平石直昭 |
Research Abstract |
本研究の目的は徂徠学の地方藩儒への伝播とその変化、及び徂徠の説く理念的な経世論を地方藩儒が現実の藩政に活かすために、具体的にどの様に実践理論へと読み替えていったのか、また中国古典をどの様に再解釈していったのかを考察することである。本年は、その視点を荻生徂徠と水野元朗との往復書簡である『答問書』に置いた。何故なら、庄内儒学及び藩学の淵源は『答問書』にあるからである。よって『答問書』の究明こそが、前述の課題を解決することになるため、特にその成立事情を中心に考察をした。 長年『答問書』は、全書簡35信総てが徂徠と元朗・進修との往復書簡であると信じられてきた。しかし、1992年東京大学の平石直昭氏がこの定説に疑義を唱えてから、往復書簡説が揺るぎ出してしまった。そこで本研究においては、この問題に決着を着けるため、従来漠然としか調査が行われていなかった(1)異本系統(2)徂徠と元朗・進修の交流期間の2点に的を絞り、この課題を明確化しながら平石氏の提議した問題の考察を行った。特に、この2点の課題解決のためには庄内所在の文献との照合を重視した。 その結果、『答問書』は第33信から第35信までは徂徠と元朗・進修の往復書簡、それ以外は宛先不明の書簡集との結論に至った。なお、『答問書』における思想の問題、そして『答問書』の庄内藩学における思想的影響については、今後も引き続き研究を行うことにしている。
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Research Products
(2 results)