2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和田 寿弘 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00201260)
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Keywords | ガンゲーシャ / タットヴァ・チンターマニ / 定動詞語尾 / ウダヤナ / ニヤーヤ・クスマーンジャリ / 言語認識 / sabdabodha / 表示機能 |
Research Abstract |
本研究は、14世紀に活躍したガンゲーシャの『タットヴァ・チンターマニ』第4部「言語認識部」(Sabdakhanda)の「定動詞語尾章」(Akhyatavada)を英語に翻訳・分析し、彼に先行する11世紀のウダヤナの影響を明らかにすることを目指したものである。このテキストは次の六つの部分に分割できる。(1)ニヤーヤの一般説、(2)ミーマーンサー説、(3)それへの反論、(4)『ラトナコーシャ』の説、(5)それへの反論、(6)ニヤーヤの最終説である。定動詞語尾に意味を確定する基準は原則的には、どの理論が語尾の現実の言語使用を説明できるかという点にあるが、この基準よりも弱いが明らかに機能している基準を発見した。本年度は、この基準について研究を進め、"A Navya-nyaya Presupposition in Determining the Meaning of Words"と題して、東方学会が発刊する外国語による学術誌Acta Asiaticaに投稿した。目下、印刷中である。 当該基準を仮に「第二次基準」と名づけておくと、この基準は、直接表示機能(第一次表示機能、sakti, abhidha)によって表される意味が如何に少ないメンバーの集合で表現できるかというものである。メンバーの集合は、ヴァイシェーシカ学派によって確立されている範疇論に合った集合が望ましいと考えられている。特に、実態、属性、運動にのみに存在する普遍によって、特定の意味が集合を表示できれば、その意味が最も理想的な意味となると考えられていることを明らかにした。このような第二次基準は、ガンゲーシャ以降、「制限者」(avacchedaka)という概念を用いることによって多用されることとなった点も明らかにした。
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