2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520054
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
谷口 富士夫 名古屋女子大学, 文学部, 助教授 (90212042)
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Keywords | 『現観荘厳論』 / 四念住 / 三十七菩提分法 / ハリバドラ / 『倶舎論』 / 順決択分 / 四諦十六行相 |
Research Abstract |
仏教に新たな実践体系が形成されるときに、伝統的修行道がどのように受け入れられ、その新たな体系にどのように組み入れられるのかを、『現観荘厳論』を中心に考察した。そのために、伝統的修行道のなかでも特に四念住に的を絞り、『倶舎論』に説かれる有部の修行道と対照させた。そして、伝統的修行道の組み入れ方に、修行道論を構成する要素として組み入れる場合と、瞑想技術として実際に修行道に組み入れる場合の二つがあるという仮定に基づいて考察した。 四諦の現観を中心とする有部の修行道において、四念住という伝統的修行道は、実際に準備段階の実践として組み入れられており、しかもその際に、本体の修行道に合わせて、本来の瞑想内容が改変されている。他方、四念住がその一部になっている三十七菩提分法に関しては、それを有部が組み入れているとは言っても、実践としてではなく論として組み入れている。 『現観荘厳論』の説く実践体系である現観は、173行相を対象として進められる新たな体系である。同論では四念住が単独で語られることはなく、三十七菩提分法の一つとしての扱いしか受けていない。他方、同論において具体的な観法を語っていると思われる箇所の多くには、有部の修行道における四諦十六行相を前提としたような内容が多い。十六行相を観察しながらも、そこにメタの観点から、無執着や大乗の優越性などをさらに加えることによって瞑想が進められるようである。そうであるならば、有部が実際に四諦十六行相観の準備段階としているように、四念住を実践しなければならなかった可能性が十分に考えられる。
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Research Products
(1 results)