2004 Fiscal Year Annual Research Report
「宗教言説」の生成と「宗教」の構築-「宗教経験」論と「未来の宗教」論を中心に
Project/Area Number |
15520059
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深澤 英隆 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (30208912)
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Keywords | 宗教学 / 宗教言説 / 宗教概念 / 宗教経験論 / 宗教の未来 / 国際宗教交換 / ドイツ |
Research Abstract |
平成16年度は、研究第2年次として、資料発掘を継続して行うとともに、事例研究と理論的考察をより深めることを試みた。資料面では、海外共同研究者であるJurgen Mohn教授の助力を引き続きあおぎ、ことにミュンヘン大学図書館を拠点として、ヨーロッパ19世紀末の宗教言説資料の収集に努めた。 研究面では、近代宗教言説のふたつの表れとしての、宗教経験論と未来の宗教論の両者を並行して、また相互に関連させつつ考察した。その成果は、ふたつの国際学会における発表として結実した。 宗教経験論に関しては、ミュンヘン大学を中心になされている宗教経験研究プロジェクトにおいて、平成16年12月に招待講演の形で研究成果を発表した。「近代日本における宗教経験言説-綱島梁川の『体験報告』をめぐる論争」と題したこのドイツ語講演では、西洋近代の宗教言説の核心をなす宗教経験概念が、明治日本の知識層の宗教理解と「自我」概念形成にいかなる影響を及ぼしたか、またことにそうした個的宗教経験の公然たる表白が、いかなる論争をまきおこし、同時に日本の知識層の自己理解と宗教理解の再編成にどのように関与していたかを明らかにした。 未来の宗教論に関しては、平成17年3月に東京で行われた第19回国際宗教学・宗教史学会世界大会において、「宗教の知的構築のトポスとしての『未来の宗教』論-ジンメルと姉崎正治の未来宗教論」と題する研究発表(英語)を行った。同発表では、未来の宗教論一般に関わる歴史的・構造的特徴を示すとともに、ほぼ同時代に属し、ともに先鋭的な宗教理論家であったジンメルおよび姉崎の未来宗教論を比較考察した。 活字となった関連業績としては、日本の近現代宗教言説を論じたドイツ語の二著作を書評論文の形で批判的に考察した、「日本の『霊性的知識人』をめぐる二著作」を挙げておく。
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Research Products
(1 results)