2004 Fiscal Year Annual Research Report
日系新宗教運動のグローバル化の現代的特徴に関する比較宗教社会学的研究
Project/Area Number |
15520061
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
樫尾 直樹 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (50233698)
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Keywords | 新宗教 / 日系宗教 / グローバル化 / スピリチュアリティ / 宗教性 / 獲得 |
Research Abstract |
本年度は、初年度で把握した信者(世界救世教いづのめ教団)のライフヒストリーと入信過程の関係の仮説をふまえて、本格的な信者のインタビューを行うことを目的とした。初年度において予測をつけた男女比、年齢階梯の状況をふまえながら、各教会数名の信者にデプス・インタビューを行い、信者当事者の教えと実践の解釈を抽出し、それをライフヒストリーの中で位置づけようとした。 ただし、イギリスのジョウレイ.サイエンス・センターはすでに固有の信者を持たない、スピリチュアル・ヒーリングのセンターを国立病院の中に設置し活動するというかたちで方向転換をしたため、信者のデプス・インタビューを行うことはできなかった。イギリス以外の、日本の北埼玉研修センター、韓国の馬山教会、フランスのパリ教会の各教会の信者に共通して言えることは、 1 キリスト教や仏教などの背景となる宗教の信仰=実践と救世教の信仰=実践との関係性の強度は比較的低いということ 2 女性信者が中心であること 3 各信者の生活世界の中での実存的苦難からの解放を主たる動機としているものの、それはあくまでも相対的であるということ 4 移民として生活する北埼玉、パリの各地域で、あるいは長年住み慣れた地域である馬山において、一市民としての意識を形成する場として、教会とその諸実践が機能していること の4点である。 ライフヒストリーに関しては、もちろん各信者において多様であるが、浄霊と呼ばれる浄化儀礼の実践とその日常的効果に対する関心が中心であり、この実践によって自己の人生物語の再構築を行っていることに共通の特徴があり、書かれたものとしての教えへの関心は比較的低い。この人生物語の再構築という点は、現代人の一般的希求を軌を一にしている点として特筆すべきである。
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