2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国西南の宗教演劇職能集団に伝承される道教およびシャーマニズム儀礼文献の研究
Project/Area Number |
15520063
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森 由利亜 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30247259)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲畑 耕一郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30063803)
稲葉 明子 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師 (50298197)
|
Keywords | 巫 / 中国西南 / 道教 / シャーマニズム / 宗教儀礼 / 宗教演劇 / 儺 / 貴州 |
Research Abstract |
本研究活動は、2002年冬より中国を発端として蔓延するウイルス性肺炎SARSの流行に大きな影響を受け、若干の変更を余儀なくされた。すなわち、当初予定した2003年8月の調査は、SARSにより実現しなかったので、10月末に貴州省道真県城周辺の村々を訪問、写真撮影による文献収集と基礎的聞取り調査を行い、これを2004年の調査の基礎調査と位置づけた。3月、この成果をもとに、森と稲葉は米国のアジア学会AASにてパネル"Singing, Fighting, and Recounting : Transmission and Interaction of Religious Traditions with Popular Cultural Forms in China"に参加し、研究交流を行った。 主軸調査は、2004年8月に貴州省道真県において2つの壇班の儀礼活動について行うことができた。一つは道真県河口郷梅江村の張芳頤壇門の地府道場、一つは同じく河口郷三壩村の楊海安壇門の衝儺活動である。前者は文献を多用し、道教の伝統と大きく重なる要素をもつ儀礼であり、後者はシャーマニズム(巫)の儀礼として位置られるものである。これらの儀礼は、隣接する地域において、しかも双方の壇門において行うことのできる科目であり、中国西南部における道教儀礼の伝統と巫の伝統とが交錯する実例であるといえる。この調査では、(1)これらの実例が存在することを見出し、(2)これらの儀礼の詳細なデジタル記録を残し、(3)それぞれの儀礼構成と(4)その背景、(5)保存と伝承の現状について緻密な記述を残すこと、(6)現地における客観的な取材方法と協力体制の確立に成功した。調査の成果は本研究成果報告書「中国西南の宗教演劇職能集団に伝承される道教およびシャーマニズム儀礼文献の研究」(2005年3)に収録した。
|
Research Products
(9 results)