2004 Fiscal Year Annual Research Report
15世紀シエナの彩色木彫研究-絵画表現との関連とその社会的な役割-
Project/Area Number |
15520080
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Research Institution | Chiba Unviersity |
Principal Investigator |
上村 清雄 千葉大学, 文学部, 助教授 (60344959)
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Keywords | ルネサンス / シエナ / 彩色木彫 / ネロッチョ・デイ・ランディ / 絵画表現と彫刻表現 / フランチェスコ・ディ・ヴァルダンブリーノ / ピサ / ルッカ |
Research Abstract |
本年度は、エンツォ・カルリの『イタリアの木彫』(1960年)をはじめ、新たに収集した彩色木彫に関する基本文献および作品写真をもとに昨年度にひきつづき、15世紀シエナの彩色木彫作品を中心とする作品基本データを作成し、あわせて関連する絵画作品の基本データの集成をおこなった。 現地調査では、フィレンツェのドイツ美術史研究所のフォトテーカ(写真資料室)において、木彫関連作品の写真資料の調査を実施、またフィレンツェのバルジェッロ国立美術館などで15世紀シエナの木彫および関連作品の精査をおこなった。また、シエナ美術品総監督局研究官アレッサンドロ・バニョーリ氏、シエナ大学美術史講座を担当する、アレッサンドロ・アンジェリーニ氏、ロベルト・バルタリーニ氏と、それぞれシエナの彩色木彫全般について、さらに、昨年度以来本研究の中心課題として取りあげている、画家としても活動したネロッチョ・デイ・ランディ(1447-1500)の、木彫作品《大天使ガブリエル》など近年提出されている新たな帰属作品について、そして、彫刻家フランチェスコ・ディ・ヴァルダンブリーノ(1380頃一1435以前)と、修復後、1995年にバルジェッロ美術館で公開された、彩色木彫《サン・カッシャーノの騎馬像》との関連など、具体的な事例に即して意見交換をおこなった。あわせてシエナ美術品総監督局とシエナ大学美術史研究室の写真資料室でも関連写真の調査を実施した。 シエナが位置する中部イタリアのトスカーナ地方は、シエナ以外にも、ピサ、ルッカなどの都市では、木彫のすぐれた伝統が育まれ、それらの木彫作品はシエナ美術と密接な関連をもっている。昨年度および今年度の現地調査では、この分野での研究がとりわけ進捗していることが確認できた。これらの成果を視野にいれて15世紀シエナの彩色木彫研究をさらに深めるために、今年度は、これらの研究成果を加えて、作品基本データを作成している。
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