2004 Fiscal Year Annual Research Report
1930-40年代日本に於けるセザンヌ解釈誕生の環境
Project/Area Number |
15520086
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 隆則 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (60207967)
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Keywords | 造型 / 抽象 / 機械美学 |
Research Abstract |
1930-40年代の日本に於けるセザンヌ解釈に関して、平成10-13年文部科学省科学研究費基盤研究【○!C】(2)『1930-40年代日本のセザンヌ受容』(報告書)で示した、この時期に於けるセザンヌ論のデータ・ベースに基づいて、1930-40年代に支配的であった「写実」と「造型」のセザンヌ解釈のうち、「写実」のセザンヌ解釈は平成15年度論考として纏めたため、平成16年度は「造型」のセザンヌ解釈を中心に調査、論文として纏めた。 平成10-13年度に蒐集した資料に加えて、「造型」批評の思想的環境となった、欧米と日本に於ける「抽象芸術論」さらには「抽象芸術論」基盤となった「機械美学」に関する同時代の評論、研究を全国各地の図書館から蒐集し、「造型」のセザンヌ解釈が具体的にどのようなものであり、又其れを支えていた「抽象芸術論」の発生と展開を調査した。其の成果は、京都工芸繊維大学工芸学部紀要『人文』53号(2005年3月)に掲載した。 平成16年7月には、パリ第1大学名誉教授、ジャン・クロード・レーベンシュティン教授を招聘し、当該研究に関してデイスカッションし、専門知識の提供、助言を受けた。又、教授には滞在中、京都工芸繊維大学で講演会を依頼した。「パレルゴンとマニエール」、「セザンヌのエチュードの概念」という二つの講演会を行って貰い公開制として、研究の公益性を計った。 平成15-16年度、2年間に及ぶ研究のまとめとして、平成15年度に纏めた「写実のセザンヌ受容論」、平成16年度に執筆した「造型のセザンヌ受容」とレーベンシュテイン教授の講演会テキストを収録した研究成果報告書を3月末に発刊した。限定200部で出版し、国内外の近代美術史研究者、国内外の主要大学図書館に送付し、研究の公開を計ると共に、関係研究者と今後、この間題に関して討論するための素材提供を行った。
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Research Products
(4 results)