2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520126
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
真下 厚 立命館大学, 文学部, 教授 (50209425)
|
Keywords | 古代和歌 / 奄美島歌 / トゥバラーマ / 歌の生態 / 大原今城 / 風流侍従 |
Research Abstract |
本研究は奄美・沖縄の声の歌の生態を手がかりに日本古代和歌研究を深化させようとするもので、奄美・沖縄の声の歌の調査・研究とその成果をもとづいて行う日本古代和歌の研究との二つの柱からなるものである。 本年度の研究としては日本古代和歌研究の分野で万葉歌人大原真人今城についての論を執筆した。本論文は宴席において和歌の詠作と古歌の伝誦とに優れた能力を発揮した大原今城の経歴・作品・歌人的特徴について論じたものである。今城の父は古歌舞の採集・整理に関わったとされる「風流侍従」と呼ばれた歌人たちの一人であったと推定される。したがって、今城の歌人的能力は「風流侍従」の父のもとで受け継いだものであり、幼少時から成長してゆくなかで育んでいったと思われるのである。 奄美・沖縄の声の歌の調査・研究の分野では一昨年度から継続している沖縄八重山の歌謡トゥバラーマの調査をもとにその歌い手について論じた論文を執筆した。本論文は一人のトゥバラーマの歌い手に注目する。トゥバラーマの歌詞創作の即興性が衰退してゆくなかで活躍した一人の歌い手は歌詞の創作と歌い方にその個性を発揮する。その歌い手の経歴と歌い手としての特徴について論じたものである。この論文は学会誌『奄美沖縄民間文芸学』第6号(平成18年8月刊予定)に掲載される予定である。 また、日本口承文芸学会・千葉大学共催の国際研究フォーラム「グローバリズムのなかの口承文芸」(於千葉大学、平成18年3月3日)において「奄美・沖縄における口承文芸の現状」と題して呪詞・歌謡・説話の伝承の状況について報告した。本研究において対象とする奄美島歌や八重山トゥバラーマの伝承を含んだものである。
|