2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520129
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
近本 謙介 天理大学, 文学部, 助教授 (90278870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横内 裕人 宗教法人東大寺, 東大寺図書館・東大寺史研究所, 主任研究員
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Keywords | 南都 / 唱導 / 東大寺 / 宗性 / 興福寺 / 貞慶 |
Research Abstract |
まず、研究課題遂行のため、研究代表者と研究分担者との間で、本年度の資料収集の範囲と分担、さらにはその分析方法を決定した。 資料収集については、本年度は第一に東大寺図書館所蔵の唱導関係文献の選定およびそのうちの一部を紙焼き写真で収集することとし、また同図書館所蔵になる貞慶関係の文献については、すべてを収集対象とした。前者については研究分担者の作成した目録を参考にしながら、共同で資料の収集を図り、後者については研究代表者のリストに基づきながら、それを補う形で資料収集を行った。 資料収集の第二として、研究代表者が科学研究費補助金交付前から継続している、神奈川県立金沢文庫保管聖教中の関連資料の収集を継続した。これは、中世の書写になる南都関連聖教が同文庫に多数保管され、これらの分析が本研究遂行上極めて重要と判断されるためである。東大寺弁暁関係のもの、南都寺院の勧進に関わる資料などを調査収集した。 第三として、真福寺宝生院に伝存する中世南都関連の聖教調査と資料収集を行った。東大寺東南院関係の資料群は、これらを分析することにより、中世の南都における聖教の書写と伝播を考えるに資すると考えている。 上記の各々の収集資料中には、南都関連の唱導文献として興味深いものも見出されるので、次年度以降は、これらの読解を進めていく予定である。 続いて、調査分析対象として考えている、東大寺図書館に蔵される東大寺宗性の「春華秋月抄」について、膨大な資料群からいかに本書の唱導文献としての性格を導き出すかの議論を行い、主要な記事の抄出・翻字作業を行うと共に、次年度からの分析の準備を進めた。一連の「春華秋月抄」のうち、「春華秋月抄草」部分に見出せる唱導関係記事の分析を共同で進めつつあり、この作業を次年度に継続させていく態勢を取っている。
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