2004 Fiscal Year Annual Research Report
「戦後」の文学形成に関する基盤的研究--一九四〇年代の再検討を起点とした五〇年代文学への試論
Project/Area Number |
15520130
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
横手 一彦 長崎総合科学大学, 工学部, 助教授 (60240199)
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Keywords | 被占領下の文学 / 敗戦期文学 / 一九四〇年代文学 / 戦後の文学 / GHQ / SCAP関連資料 / 旧内務省検閲 |
Research Abstract |
年度当初に提出した平成16年度「研究実施計画」に概ね従い、今年度の研究活動を行った。その記述項目に沿って記載。A:国内の公的諸施設所蔵資料の確認作業--主に国立国会図書館及び早稲田大学中央図書館において原典確認作業と関連資料収集を行った。B:個人所蔵及び地方図書館所蔵資料の確認作業--国文学研究資料館名誉教授棚町知彌氏の聞き書き調査を行い、福岡検閲局の内部的経緯の一端を記録文書として纏めた。C:在米資料の確認作業--04年9月に短期渡米調査を行い、メリーランド州立大学マッケルディン図書館所蔵のGHQ/SCAP在米資料を収集し、また当該部署責任者と打ち合わせ、今後の研究計画の概略を立案した(準備段階のため未公表)。D:論考の積み重ね--原典研究と批評史研究の性格に留意しつつ、一九四〇年代文学に関する個別テーマを論文化し、公表した。しかし力不足のため、「墨塗り教科書」を公表するには至らなかった。E:一九四〇年代後半の文学(私的呼称「敗戦期文学」)への関心に発したナガサキ原爆文学--05年6月日本図書センターから『林京子全集』全八巻が刊行されることに伴い、第八巻「解説」を担当し、共編にて「著作年譜」と「略年譜」を作成した。二〇世紀の世界文学に対した日本文学の位置を考究する基礎的段階を、部分的にも構築したと考える。加えて、現在作成している私的関心に基づく「敗戦期文学関連年表」の追記や補訂作業を継続した。 本申請と直接的に関わるものではないが、平成11年から14年度科学研究費基盤研究(C)研究課題名「軍事制度下の文学に関する基盤的研究--一九四〇年代文学作品の被検閲事例を中心に」(課題番号11610456)の主たる論考を、2004年9月EDI発行『敗戦期文学試輪』(平成16年度科研費研究成果公開促進費・種目名学術図書・課題番号165119)にまとめ、私論であり、また試論として提示した。
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Research Products
(3 results)