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2003 Fiscal Year Annual Research Report

18世紀ヨーロッパにおける「異境」をめぐる研究

Research Project

Project/Area Number 15520141
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

佐藤 研一  東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (80170744)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 藤田 緑  東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (10219024)
Keywords啓蒙主義 / 異境 / ロシア的農奴制 / ドイツ文化圏リヴォニア / 先住民農奴 / ブラック・ディアスポラ / 奴隷貿易 / アフリカ系英国人
Research Abstract

佐藤は、18世紀リヴォニアの宗教的・杜会的・政治的状況を見定めながら、先住民農奴エストニア人・ラトヴィア人の実態の把握に努めた。まず、主としてJ.エッカルトの著作『18世紀のリヴォニア』(1876)に検討を加えた結果、つぎのことが明らかになった。すなわち、大半が異教徒の先住民が、敬虔主義一派「ヘルンフート兄弟団」の伝道により、キリスト教に改宗し、杜会的意識に目覚め始めたという点である。ついで、A.W.フーペルの『リヴォニアとエストニアの地誌報知』全3巻(1774、77、82)やG.メルケルの『ラトヴィア人』(1796)などの分析を通して、つぎのことを解き明かした。すなわち、非正統主義の牧師フーペルは、先住民の実践的教育に専念するも、その主眼は先住民の自意識形成にあった。これは、当時の杜会的文脈では画期的というべきであろう。しかも、彼は啓蒙絶対主義に則った農奴制改革案も構想した。この中道改革派の活動と対照的なのが、メルケルの急進的農奴制廃止闘争といえる。
藤田は、ヨーロッパにおけるアフリカン・ディアスポラ関連の基本的文献を渉猟し整理する一方、英国における黒人及び黒人社会の実態の把握に努めた。ブリタニアへのアフリカ黒人渡来の歴史はローマン・ブリテン時代まで遡るが、ロンドンで小規模ながらも黒人のコミュニティが形成されたのは、17世紀中葉以降のことである。早くも1731年にはロンドンで黒人に対する職業差別法が制定され、18世紀後半には東部郊外にスラム街も出現した。黒人の意識に関しては、I.サンチョの書簡集(1782)やO.クゴアノの『奴隷制の悪弊をめぐる一考察』(1787)、O.エキアノの『オラウダ・エキアノ、またはアフリカ人ガスタヴァス・ヴァッサ自身が語る面白い人生の物語』(1789)等、西アフリカ出身の黒い「英国人」の著作を中心に分析を試みた。彼らに共通してみられるのは、啓蒙思想に基づく反奴隷制運動にひそむ差別意識や矛盾への婉曲な批判的姿勢であった。

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Published: 2005-04-18   Modified: 2016-04-21  

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