2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代フランスにおける都市と地方の民衆文化の諸相と文学への影響
Project/Area Number |
15520164
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Research Institution | National University Corporation, Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 正明 信州大学, 人文学部, 助教授 (20191611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝澤 壽 信州大学, 人文学部, 教授 (70021227)
山本 省 信州大学, 農学部, 教授 (00126715)
三木原 浩 国立大学法人神戸大学, 国際文化部, 教授 (70116177)
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Keywords | 民衆文化 / シャンソン / レアリスム / プロヴァンス / フランス文学 |
Research Abstract |
本年度は,平成15年度に広範に行った実地調査とその時収集した諸資料,諸文献に基き,近代フランスにおける民衆文化の諸相とその文学への影響についてさらに調査研究を推し進めた。 まず吉田は,前年度のフランス調査旅行で収集した資料を精査し,民衆的シャンソンがフランスロマン主義詩人や高踏派詩人に及ぼした影響を明かにした。滝澤は,フランス・レアリスム小説の舞台となったノルマンディー地方やブルターニュ地方の調査旅行に基づいて,フローベール小説の再検討を行った。山本は,南仏オート・プロヴァンス地方を訪れ,ジオノの小説の舞台となった場所を隈なく調査し,その地方の住民たちと実際に会い,庶民の暮し振りや生活の実態について聞き取り調査を精力的に行った。この調査旅行に基づいて,都市生活においてはほとんど失われてしまったアニミズム的な自然観を考察し,それがジオノの作品にどのように表徴されているかを探り,民衆文化の基層に根付いている南仏特有のケルト的思考法を明かにした。三木原は,前年度に続いてフランス各地の民謡資料を広範に調査し,その歌詞解釈を精密に行った。 研究打合せは定期的にメールを通じて行ったほか,研究会を2回開き,それぞれのテーマに関して活発な議論を重ねた。1回目は,平成16年6月26日にホワイトイン北志賀において吉田が「19世紀フランス詩とChansons populaires」というテーマで発表し,2回目は,神戸大学国際文化学部において山本が「ジャン・ジオノとオート=プロヴァンスール・コンタドゥール高原-」と題して発表を行った。 以上のように,本研究はフランス調査旅行によって得られた貴重な資料を手がかりにして遂行されてきたものであり,その成果は各自の論文や学会発表などに生かされている。
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Research Products
(6 results)