2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国桂林の岩洞内に存する唐宋人の墨書と石刻の解読及びその史的研究
Project/Area Number |
15520227
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 島根大学, 法文学部, 教授 (40183876)
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Keywords | 興安県乳洞巖 / 洞内摩崖石刻 / 全唐詩 / 范成大 / 方信孺 / 桂林芦笛巖 / 壁書 / 岩壁上墨書 |
Research Abstract |
1、中国桂林地区興安県乳洞巖の洞内に現存する石刻について:(1)復元と解読を試み、唐宋の史書や新編の『全唐詩』・『全唐文』・『全宋詩』・『全宋文』の補正を行った。中でも唐代の趙某の題詩一首と宋代の方信孺の題詩二首は未収録であり、新発見として、また唐代の韋〓の題詩や宋代の范成大等の題名、趙立・項大受の唱和詩は史書等を補正するものとして貴重な史料である。また、南宋『方輿勝覧』の乳洞に関する記載が范成大『桂海虞衡志』からの引用であり、同書の佚文であることを考証した。(2)石刻の年代・作者等の考証を行い、石刻に見える人名およびそれに関係する人名約150人の一覧表を作成した。(3)方志等の歴史地理書の記載および現地の政府機関等の公表する調査結果と研究結果を検討し、その補足と修正を迫った。今日公表されている現存石刻数19件は明らかに誤りであり、少なくとも25件が現存しており、また文革期までは40件近くが存在していたと思われる。(4)乳洞巖の歴史地理・沿革について考察を加えた。洞内石刻は唐宋の時期に集中しており、元明には見られなくなるが、その裏には晩唐における景勝地から南宋・宝祐年間における宗教的道場としての開発という展開がある。(5)乳洞巖の位置と洞内の構造および石刻の所在地を示す洞内・洞外周辺の地図を作製した。2、桂林市芦笛巖内の墨書について:(1)今日の通説で南朝・斉の作と鑑定され洞内最古の墨書と見なされているものは、書式等から見て、明らかに斉の作ではないことを考証した。(2)復元と解読によって唐代墨書には書記されている場所と時代の上である集中が見られることを指摘し、それが晩唐・会昌年間における仏教弾圧と関係があるという仮説を提示した。(5)同じく桂林の巖洞にある摩崖石刻と巖洞内岩壁墨書と比較し、書式・内容・動機・歴史等についてその相違点と特徴を指摘した。
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Research Products
(2 results)