2005 Fiscal Year Annual Research Report
絵本「ちびくろサンボ」の英米日における受容と評価の歴史に関する比較研究
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15520238
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
戸田山 みどり 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 助教授 (40342448)
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Keywords | 文化研究 / 英語圏児童文学 / 国語教育(日本) / 絵本 / 図像学 / 人種表象 / 植民地主義 / 検閲 |
Research Abstract |
本年度においては、2005年8月にダブリンで開催されたInternational Research Society for Children's Literature(国際児童文学学会)の研究大会に参加し、日本および海外の最新の研究成果と動向を知る機会を得た。また、多くの研究者との交流から、今後の新たな研究計画を定めるための指針をえることができた。また、3月に提出した博士学位論文には盛り込むことのできなかったいくつかの点について、新たな資料を収集することができた。具体的には、昨年はしばらく絶版となっていた国内版、1953年岩波書店刊行『ちびくろ・さんぼ』(光吉夏弥訳、フランク・ドビアス絵)が、他の出版社から復刻再版されたことから、その経緯と国内での反響を調査した。その結果、当作品の挿絵画家Frank Dobiasについてほとんど知られていないことがわかり、あらためて研究に着手した。国内では公的機関には全くほかの資料は収集保存されておらず、1927年にアメリカ合衆国で出版された原作も、意欲的に資料を収集しているスコットランド国立図書館にも、ニューヨーク市立図書館にも保存されていない。同画家のほかの作品もあまり数は残っていない。本年度はその中からニューヨーク市立図書館の蔵書となっている数点に関して画像を収集しており、現在分析の途中である。結果は平成18年度中に発表する予定である。また、日本国内におけるこの作品の受容の変遷、とくに昨年の旧版の復刻に見られるような根強い人気は、一面で日本の特徴を表していると同時に、児童文学における評価と出版・流通の問題の重要性をあらためて示していると考えられる。海外の大会に参加した経験から、このような問題を国内だけでなく、国際的な場で問題提起する必要を感じており、来年度には国際的な場での研究成果の発表を果たす予定で準備中である。
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