2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520246
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20190712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益子 幸江 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00212209)
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Keywords | タイ / クーイ語 / 音声学 / 音韻論 / スリン / ラーオ語 / スリン・クメール語 |
Research Abstract |
1.ノート型パソコン及び録音機、ビデオレコーダーなどを購入し、研究代表者がタイ国スリン県を中心として、クーイ語の音声、音韻を中心とした調査を行った。 2.同県はクーイ語の他、ラーオ語(タイ語東北方言)、スリン・クメール語の多言語使用地域でもあるため、現地の小学校、中学校を訪問し、多言語使用の実態についての調査を行った。その結果、小学校、中学校ともに、教師が標準タイ語の他、その出身によってクーイ語、ラーオ語を日常的に用いて生徒たちと接していること、生徒同士は日常的にクーイ語で会話を行っていることなど、多言語使用の実態について、興味深い事実が観察された。特に,他地方出身の教師を除けば,地元出身の教師がクーイ語あるいはラーオ語の使用について,むしろ積極的であること,その結果,土着の母語に対して生徒たちが否定的な感情を抱くことがなく,土着語の使用をためらわないことが印象的であった。 3.現地で収集した録音、録画資料をもとに、クーイ語とタイ語とを併用する場合のコードスイッチングについて,研究代表者が談話資料の解析を行った。特に改まった内容を語る場面では,(クーイ語で話すようにとの依頼がある場合であっても)どうしてもタイ語を使用する傾向があることがわかった。 4.現地で収集した録音資料に基づき、研究分担者が実験機器を用いて、主として用いて音響的な分析を行い、さらにその音韻に関する記述を行った。モン・クメール系の言語において,特に音声的な特徴であるbreathy(気息)母音の生じる音韻環境と,語頭の子音連続を中心とした記述と本的な分析を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 峰岸 真琴: "On the Khmer Script : its past and present."Working Papers of International Symposium on Indic Scripts : Past and Future. ILCAA. 301-317 (2003)
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[Publications] 峰岸 真琴: "文法記述のスコープを巡って:支配,依存関係を例に"言語情報学研究報告. 2. 67-77 (2004)
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[Publications] 峰岸 真琴: "記述研究の可能性---東インド・サンタル語を巡って"国立民族学博物館調査報告崎山理編『消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題』. 39. 305-308 (2003)
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[Publications] 益子 幸江: "日本語の言語獲得過程における音声表出に関する研究"東京外国語大学論集. 67. 15-38 (2004)
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[Publications] 峰岸 真琴: "「比較形態論へのパラメトリックアプローチ」,アレクサンダー・ボビン,長田俊樹(共編)『日本語系統論の現在』"国際日本文化研究センター. 572(343-355) (2003)