2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520252
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藪 司郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30014509)
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Keywords | 古ビルマ語(OB) / OB:WrB(ビルマ文語)の対応 / 綴り字法 / 母音符号の長短 / 介子音符号<l,r,y> / 借用語 / 碑文 / 墨文 |
Research Abstract |
1.古ビルマ語(OB)とビルマ文語(WrB)の綴り字の対応をみると、新たに次のような点に留意すべきことがわかった。(以下、OB....(WrB....)「語義」の順に示す。) (1)母音符号の長短の不規則表記。mii〜miy〜mi(mii:)「火」、phuu〜phuh(phuu:)「蕾」。 (2)母音符号<ui>の不規則表記。thuiw〜thiw〜thuw(thui)「その」、a-myuiw〜a-mluiw〜a-mliw(a-myui:)「親族」。 (3)介子音符号<l><r><y>の文語形との対応の不規則性。pliiy(pre:)「逃げる」、phriy〜phriiy(phre)「解く」、mriy(mre, mre:)「土地、孫」、a-mrii(a-mrii)「尾」、<l〜y>の例はうえの「親族」を見よ。 (4)OBには-uik,-uingを韻母にもつ語例が少なく、G.H.Luce(古ビルマ史学)を初めPaul K. Benedictはこれをモン語からの借用語であると考えたが、すべてをモン語起源とみなすわけにはいかない。-nhuik(-hnuik)「〜ニオイテ」《於格助詞》。 2.OBの借用語にはパーリ語・モン語が多いのは当然であるが、当時、すでに相当程度にまでビルマ語化していた語が少なくないことが分かる。ピュー語、シャン語起源の語もあったであろうが、はっきりした痕跡を残していない。 3.ミャゼディ碑文は、4言語のうち、やはりパーリ語とモン語がもっともこなれた文体で書かれていることが分かった。(ピュー語は全体として簡略になっているようである。) 4.本研究は、ひきつづき行なう予定のビルマ文語の研究につながり、全体としてビルマ語史の一部をなすものである。
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Research Products
(1 results)