2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520261
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
児玉 望 熊本大学, 文学部, 助教授 (60225456)
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Keywords | コンカニ語 / 中期インドアーリヤ語 / 形態論 / 音韻論 / 無文字言語の文字言語化 |
Research Abstract |
本年度は、平成16年度のポルトガル現地調査により入手したブラガ写本771・772複写資料の電子化に取り組んだ。 基礎作業として、771写本470葉、772写本851葉の画像をpdf化した。これは、写本の電子テキスト化作業において、写本の可搬性、検索可能性を増すことと細部の可視化を第一義の目標として行った作業であるが、主目標である電子テキスト化が完成した後に、電子化資料として公開することも考慮した。 昨年の調査では、インドですでにインド系文字翻字の形で公刊された出版物に記載された記述が、一部誤っており、翻字本のほとんどが771写本の一部を元にしていることを明らかにしたが、本課題が目標とした電子テキスト化は、インド資料の記載をベースとして立案されたものであり、写本の量が現実には計画の数倍に及んでいることが明らかなことにより、Pdf化された資料をさらに詳細に検討し、電子テキスト化計画を再検討する必要がでてきた。772写本の一部が771写本と(場合によっては2回以上)重複していることは、これらの写本がポルトガル人宣教師の間で繰り返し書き写されてきたことを示していると思われる。興味深いのは、772写本の中には、他の資料には見られない字母Kを用いた写本が見られることであり、このことは、772写本の転写が非ポルトガル語話者か、あるいは時代の下った時期にポルトガル領インド外において転写された可能性を示していると思われる。 このため、電子テキスト化は771写本に限定することとし、インド系文字翻字資料との付き合せによって、どのような転記システムが取られているか、および、ローマ字資料ではどのような単位を基にした分綴法がとられているかを検討する準備作業を行ない、今後継続して行なう予定である電子テキスト化の方針を定めた。
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