2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520267
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大竹 孝司 獨協大学, 外国語学部, 教授 (50203815)
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Keywords | 語彙認識 / 語彙候補活性化モデル / 音素 / プロソディ / 無アクセント方言 / オンセットーライム構造 / バイリンガル / 音節とモーラ |
Research Abstract |
本研究では、語彙認識のメカニズムに関与する音韻情報について以下の3つのテーマに関して2年間の研究期間で解明を行った。 第1のテーマは、語彙認識の研究で重要な位置付けにある語彙候補の選定のメカニズムに関するものである。最新の西欧語の研究では、音素を単位とする語彙候補活性化モデルが提案されており、このモデルは普遍的なものとされている。本研究では、モーラ言語とされる日本語を使って、このモデルの普遍性の検証を行った。今回の研究では、音素認識と密接な関係があるアルファベットの文字知識を持たない日本語を母語とする児童によって検証を行ったところに大きな特色がある。児童による検証の結果、アルファベットの知識を持たない日本語話者でも音素に基づく語彙候補の活性化が起る可能性を明らかにした。 第2のテーマは、語彙候補活性時におけるプロソディの機能に関する普遍性に関するものである。これまで行った研究では、東京方言話者はピッチアクセント情報を利用して語彙選択が起ることを明らかにすると共に無アクセント方言話者は、この活性化の能力が東京方言話者と比べると劣ることを明らかにした。今回の研究では、福島方言の話者を対象に無アクセント方言話者の検証を行った。その結果、熊本方言、栃木・茨城方言話者と同等程度に、福島方言話者も劣ることが明らかになった。つまり、日本語のプロソディの情報は、方言によって、利用の仕方に差異が存在する可能性を明らかにした。 第3のテーマは、心内辞書内における音韻表示の普遍性に関する問題である。今回の研究では、日本語と英語、日本語とスペイン語のバイリンガル話者とモノリンガル話者を対象に音韻表示の認識の差異について検証を行った。今回の研究で検証をおこなったのは、オンセットーライムと音節とモーラの構造について検証を行い、バイリンガル話者とモノリンガル話者の間には明確な音韻表示の認識に差が存在する可能性を明らかした。
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