2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520270
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
池内 正幸 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20105381)
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Keywords | 極小主義 / 進化論 / 自己組織化 / 反証主義 / 生成文法 |
Research Abstract |
まず、生成文法理論の成果及び視点から、言語の起源・進化を探究していく際のもっとも妥当で有効な想定を明示した。それらは次の通りである。 (1)言語の起源・進化の問題は、UGの問題である。 (2)中核部(あるいは、FLN)の起源と進化を考える。 (3)「現在」の人間言語が説明の目標である。 (4)起源について、できうる限り帰無仮説を採る。 (5)言語の個々の特徴/原理の起源と進化を探る。 (6)それぞれの特徴/原理を恣意的なものとは考えない。 極小主義理論では、その強い極小主義のテーゼ(SMT)に拠り、原理そのものが極めて簡潔でエレガントになったので、GB理論の時とは異なり、それらについて直接的にその起源・進化を問うことが可能となった。 このような視点から言語の起源・進化の問題を考えて行く時、特に、後者の言語進化については、複雑系/自己組織化(self-organization)/構成論的アプローチは極めて有効である。しかし、起源については、agentの条件付けをどのように考えるかが大きな問題となってくる。今後の課題の一つである。 また、ネオ・ダーウィニズムにせよ、断続平衡説に拠る複数主義にせよ、いわゆる反証主義をその方法論としているとは考えられない。一方、生成文法理論研究は、(洗練された)反証主義に拠っているのは間違いないと思われる。この方法論における相違が、また、生成文法と進化論の統合を難しくしている要因の一つであるかもしれない。来年度の課題となると思われる。
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