2003 Fiscal Year Annual Research Report
漢字文化圏における角筆文献の発掘調査並びに比較研究
Project/Area Number |
15520278
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Research Institution | Matsuyama Shinonome College |
Principal Investigator |
西村 浩子 松山東雲女子大学, 人文学部, 助教授 (20248339)
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Keywords | 角筆文献 / ベトナム本 / 方言 / 標準語教育 |
Research Abstract |
平成15年度は、国内調査では、愛媛県内で、今治市満願寺や上浮穴郡美川村大川土居家、宇和島市三浦田中家における角筆文献調査を行ない、角筆文献が発見された。 また、土居家における角筆文献調査の過程で、大正期の尋常小学校の生徒(土居芳枝)が書いた日記が見つかった。その日記は、共通語と方言との混交体で書かれており、標準語教育を受けた地方の小学生が「標準語」と生活語である「方言」とをどのように織り交ぜながら文章をつづったかを知ることのできる貴重な資料である。そして、土居家からはさらに明治8年発行の小学校の教科書に、角筆で漢字の振り仮名を記した書入れが見つかっている。小学生が学校教育の中で標準語(書き言葉)を習得するためにどのようなことをしたかという点で、角筆での教科書への書き込みと方言交じりの日記は標準語の習得という点で連続性がある。このような資料を有する土居家の書籍群は、角筆文献研究資料としても、標準語教育の資料としても価値あるものを含んでいると言える。この成果については、広島大学秋季国語国文学会(平成15年11月22日於広島大学)において口頭発表を行った。 海外調査では、中国の内モンゴル自治区においてチベット仏教寺院(広宗寺・延福寺・福英寺)での調査を行った。現代の仏典からは角筆文献の発見はできなかったが、今後古いチベット仏典の調査により、角筆文献の発見の可能性がある。また、日本国内においても、ベトナム本(安南本)の調査を行った。調査機関は、東洋文庫と慶応義塾図書館松本文庫である。その結果、東洋文庫から凹みでアルファベットの書入れを発見した。慶應義塾大学でも、文字ではないが、記号・符号の類が凹みで書き入れられている例を発見した。今後、ベトナム本調査の展開が期待されるところである。
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