2003 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア日本語学習者の発話・知覚における破裂音の習得メカニズムとその中間言語研究
Project/Area Number |
15520333
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
福岡 昌子 三重大学, 留学生センター, 助教授 (70346005)
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Keywords | 日本語教育 / 音声 / 破裂音 / 習得 / 中間言語 / 中国:韓国 / 中国語(北京語・上海語) / 韓国語 |
Research Abstract |
本年度は、(1)分析機器の充実、(2)調査資料(合成音声資料)の作成(2003年7月、12月)、(3)日本語学校で学ぶ韓国日本語学習者の初級・中級レベルの発話・知覚における縦断研究のための調査(2003年7月、10月、2004年1月)、(4)天津外国語大学、上海外国語大学・慶煕大学校(ソウル市)における言語間の破裂音範疇知覚に関する調査を行った(2004年2月〜3月)。 第1回知覚調査の資料をもとに、母語の破裂音が有気と無気の2項対立がある中国語(北京語)話者、激音・濃音・平音の3項対立のある韓国語(ソウル)話者を中心に分析した結果、次のことがわかった。破裂音を含む有意味語と無意味語の調査では、両言語話者ともに有声破裂音の方がよく聞けていることがわかった。韓国人学習者は、先行研究によれば語頭の有声破裂音に関する知覚が難しいとの指摘と多少異なっていた。両言語話者間で大きな違いがあったのは、日本語の無声破裂音の知覚で、中国人学習者は語中に位置する無声破裂音を有声破裂音に誤聴する傾向が見られ、韓国人学習者は、語頭の無声破裂音を有声破裂音に誤聴する傾向が見られた。中国人学習者は、先行研究で指摘されているように、日本語の語中の無声破裂音が母語の無声無気破裂音に近い音であるために、有声破裂音にとらえらてしまうことに関係があると思われる。また、韓国人学習者は、語頭に位置し帯気性のある激音・平音、または濃音のいずれかの音に引きつけて日本語の語頭の無声破裂音を知覚し識別していると考えられるが、日本語の無声破裂音は帯気性が弱い音であるために、無声破裂音としてではなく有声破裂音としてとらえ、そのために語頭の無声破裂音を有声破裂音に誤聴するのではないかと思われる。(2003年度第17回日本音声学会全国大会予稿集207-212)
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Research Products
(1 results)