2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520396
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
西澤 奈津子 (古瀬 奈津子) お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20164551)
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Keywords | 書状 / 消息 / 往来物 / 平安時代史 / 書儀 / 国際情報交換 / 中国:台湾 |
Research Abstract |
平成18年度においては、平安時代の書状データベースを完成するとともに、本課題の総括を試み、研究成果報告書を作成した。平安時代書状データベースは、研究協力者・野田有紀子氏の助力を得て編纂した。《平安遺文》所収文書編、《平安遺文》未収文書編、《往来物》編に分かれる。《平安遺文》所収文書編は、『平安遺文』古文書編から、書状形式の文書(論旨・院宣・令旨・御教書・長者宣・奉書・啓・書状・消息・請文・送状など)を収集し、書状ごとに、書状名称、和暦年月日、西暦、差出書・下付、上書・宛所・脇付、書き出し文言、書き止め文言、平安遺文卷番号、出典・所蔵者、備考について表にまとめたものである。仁寿3年(853)から仁安3年(1168)までの616通の書状を収集できた。 《平安遺文》未収文書編については、書状名称、和暦年月日、西暦、差出書・下付、上書・宛所・脇付、書き出し文言、書き止め文言のほか、史料群・旧蔵・所蔵、卷・典拠・刊本・参考資料、紙・封・追記・備考について抽出した。弘仁5年(814)から元暦2年(1185)までの書状2020通を収集することができた。しかし、網羅できたわけではないので、今後さらなる収集と整理が必要である。 《往来物》編は、平安時代に編纂されたと考えられる8種類の往来物(高山寺本古往来、明衡往来、東山往来、東山往来拾遺、釈氏往来、和泉往来、貴嶺問答、菅丞相往来)について、構成と内容をまとめた。 以上のデータベースを使用して、今後、平安時代に書状が盛行していった様相を明らかにし、我が国において平安中期に初めて往来物が成立した理由を考察して、日本古代における書状の社会的機能についてさらに究明していきたい。 本年度は、一方で、中国の書儀と日本の書状の比較研究を行い、「唐日における上表と奉表」という題目で、中国・上海師範大学で開催された「唐宋変革期的法律与社会」国際学術研討会(平成18年9月25日)において報告を行った。また、中国・寧波の天一閣博物館で開催された「中外蔵書文化国際学術研討会」において、「天聖令と日本令」について報告をした(平成18年11月10日)。
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Research Products
(3 results)