2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520397
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
齋藤 康彦 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (00153825)
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Keywords | 地方財閥 / 日本資本主義 / 株式投資 / 甲州財閥 / 企業勃興 / トップマネジメント / 電力戦 / 大正バブル |
Research Abstract |
本年度は、基本的な資料類の調査と、収集作業を重点的に行った。特に、佐賀財閥については、佐賀市において実地調査を実施した結果、長いこと所在が不明であった貴重書類を再発見するという大きな成果を挙げることができた。本年度の資料収集活動で甲州や江州財閥についても関係資料類の吟味作業と資料収集は著しく進捗した。 又、研究対象である甲州、佐賀、江州、中京の4つの財閥の関係資料の収集作業と平行して、比較的まとまった資料を得ることのできた甲州財閥については収集した資料データのパーソナルコンピュータへの入力作業を開始し、第1次データベースの構築を行なった。今年度は、その一部のデータを使用して大正中期についてではあるが、甲州財閥の関係企業数262社、役員71名からなる企業集団ネットワーク図を完成させることができた。そしてこの作業を通じて明かとなった新知見を素材に、大正中期における甲州財閥の銀行・企業への経営参画の実態を明らかにした論文「甲州財閥の多角化とその特質一大正期を中心に一」を発表し、通説への批判的な見解を提示できた。更に、その続編ともいうべき「甲州財閥の株式投資の実態一大正期を中心に一」を執筆した・ なお、関係資料類の検討を通じて、従来は十分に解明されていなかった大正中期の日本資本主義の急激な発展を背景に展開された先発組の東京電灯と他の後発電力会社との競争である所謂「電力戦」において、研究対象である4つの財閥の利害が複雑に絡み、一方で既成財閥と対立を生み、その地位の低下の遠因となった事実が明かとなった。
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