2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520397
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
齋藤 康彦 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (00153825)
|
Keywords | 地方財閥 / 日本資本主義 / 株式投資 / 甲州財閥 / 企業勃興 / トップマネジメント |
Research Abstract |
過年度における調査研究活動を通じて、比較対象と考えていた佐賀、江州、中京の各財閥にあっては地元大学において分厚い研究蓄積があるのに対して甲州財閥に関する学術的研究は大きく遅れていることが浮き彫りとなり、本年度は甲州財閥の実体解明に焦点を絞った。具体的には佐賀、江州、中京の各財閥と同じレベルの関係資料の収集と、データベースの構築、さらにはデータ分析に全力を挙げた。 その結果、本年度は「甲州財閥の株式投資の実態-昭和前期を中心に-」と、明治期を対象とした「甲州財閥の形成-経営参画と株式投資-」を発表した。これにより明治期、大正期、昭和戦前期の三つの時期について株式投資と企業への経営参画の二つの側面からみた甲州財閥の実像を把握することができた。研究課題である企業者集団の比較史的研究を念頭に置いて「甲州財閥の位置」を執筆した。さらにこれまでに発表した研究成果をふまえ、甲州財閥の構成メンバー、とりわけ総帥である若尾一族の事業活動の実態を解明した「東京馬車鉄道の経営分析」、「横浜若尾家と横浜商界」、「東京渡辺一族との連携」、「東京若尾家と三ツ引企業群」の一連の論文を執筆した。 なお、関係資料類の検討を通じて、従来は十分に解明されていなかった甲州財閥をはじめとする地方財閥の日本の産業経済における位置を確定することができたが、日本資本主義の発展を背景にした産業界の再編成過程で、雨宮敬次郎、根津嘉一郎といった他の甲州財閥の構成メンバーの事業活動の実体の把握と、その特質の解明を課題とする論文の執筆が次年度における主要な作業となる。
|
Research Products
(2 results)