2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520403
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Research Institution | WAKAYAMA University |
Principal Investigator |
海津 一朗 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20221864)
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Keywords | 日前宮 / 惣国 / 林家文書 / 惣国一揆 / 雑賀 / 太田城 / 常民文化研究所 / 荘園遺跡 |
Research Abstract |
1 荘園調査による荘園地図の作成 宮井用水の水入れにあわせて、日前宮周辺、岩橋荘故地、和田荘故地(以上第一年目)、日前宮宮郷流域(2004年)の水利・地名調査を実施し、水利組合文書および絵図をトレースして、明治地籍図類の所在を確認した。両年調査分より、和歌山平野の宮井灌漑地域全体の荘園遺跡地図(通称地名・遺跡と水利慣行を記入した図面)を作成した。なお、当初予定に入っていなかった岩橋荘を加えた理由は、県道の敷設によって同荘の要地(政所比定地岩橋家や蓮如所縁の法照寺)が改変されたためである。岩橋高柳遺跡および水軒堤防の発掘成果についても、和歌山県文化遺産課・同文化財センター・和歌山井堰研究会より調査資料の提供をうけて記入した。また惣国の比較研究として、根来寺門前大門池の水利調査を行なって都市空間の比較研究をした。 2 古文書調査・翻刻作業と荘園地図 国立国文学資料館・史料館所蔵の「日前宮文書」「中橋家文書」、神奈川大学常民文化研究所所蔵の「日前宮文書(筆耕本・副本)」、水産庁資料館所蔵の「日前宮文書(筆耕本・正本)」(散逸)、和歌山市立博物館所蔵の「林家文書」「岩橋家文書」写真帳を調査・整理・閲覧して、日前宮領荘園・封郷についての解読を進めた。また、この問題についての第一人者である網野善彦教授に面談を求めて、懇切な御教示を得た(教授は二〇〇四年二月二十七日に病没し、我々が最後に接触した研究者と思われる)。それをもとに、東京大学史料編纂所所蔵の「紀伊国造家文書」、国文学資料館・史料館所蔵の「田所文書」、前出の日前宮文書(筆耕本・副本)」、「林家文書」「岩橋家文書」写真帳を調査・整理・閲覧して、日前宮領荘園・封郷についての解読を進めた。このうち主要な帳簿類についてはほぼすべてを翻刻して、データベース化した。1の荘園地図と照合し、和歌山平野の中世景観を解明した。また第3年次の最終段階において、研究協力者の野田阿紀子氏より、日前・国懸神宮の調査成果を提供いただいた。 3 成果報告書の刊行 研究データをすべて提示する成果報告書を刊行した。上記1は第一章、2は第三章にすべて包括し、第二章考察編に検討成果論文を掲載した。
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