2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代国家・社会における書儀の受容に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15520409
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
丸山 裕美子 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (00315863)
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Keywords | 日本古代史 / 唐代史 / 書儀 / 国際情報交換 / 中国 |
Research Abstract |
今年度における最も大きな成果は、9月2日から5日に中国武漢大学において開催された「中国三至九世紀歴史発展与唐宋社会変遷国際学術研討会」に参加し、「唐代書儀文化対日本的影響」のタイトルで研究報告したことである。本報告は、日本古代における書儀受容の具体像を敦煌写本書儀と日本の正倉院伝存の書儀との比較を中心に述べたものであるが、あわせて台湾故宮博物院所蔵の「唐人月儀帖」と敦煌写本の朋友書儀との関係を明らかにしたことが成果としてあげられる。招聘を受けての学会参加であったが、「大会主題発言」として、全体会において発表し、中国における書儀研究の第一人者である呉麗娯氏(中国社会科学院)から好意的な評論を得ることができた。またこの学会においては、同じく大会主題発言において、広州博物院の程存浩氏による研究報告の評論人に指名され、これを行った。学会の期間中、中国・韓国及び台湾の研究者との友好を深めることができたことも収穫であった。今年度は上記国際学会での発表と関連して、朋友書儀を中心に検討を加えた。ほぼ全ての朋友書儀の写真コピーを入手することができたので、かつて私が学会に紹介した日本の個人蔵の敦煌写本朋友書儀、及び台湾故宮博物院の「唐人月儀帖」と合わせ、精度の高い校訂本文を作成することが可能となった。いわゆる吉凶書儀については、朋友書儀と密接に関わる部分のみを検討するにとどまった。なお当初予定していた日本古代の法制史料や外交文書・書状などの文献資料から書儀の影響を拾い集める作業が遅れているが、今年度の朋友書儀に関する研究成果を得て、むしろ日本における初期の往来物についての考察を優先するべきではないかと、若干の研究計画の見直しを考えている。
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