2003 Fiscal Year Annual Research Report
福建・台湾の宗教文化ネットワーク形成に関する歴史的動態の研究
Project/Area Number |
15520424
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸山 宏 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (00229626)
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Keywords | 福建 / 台湾 / 宗教文化 / ネットワーク / 廟 / 碑文 / 道士 / 儀礼文書 |
Research Abstract |
本研究は、中国東南沿海地域に属する福建と台湾において、他の地域と比べて特徴的な民間信仰と道教の濃厚な宗教文化の伝統が保持されてきたことに注目することを研究の出発点とする。福建と台湾の間では、持続的な人的交流を基盤にして、歴史的に強固な宗教文化のネットワークが形成されてきたが、本研究はそのネットワークのあり方について、宗教史学の史料を活用して解明すること目標とした。 本年度の研究成果について以下に3項目を分けて記述したい。1)現地調査の準備について。まず今年度は補助金交付の時間の問題から、福建台湾での現地調査ができなかった事が惜しまれるが、沖縄国際大学に滞在中の福建師範大学の林国平教授と研究交流を行い、福建の研究者による当該分野の研究状況について知見を得ることができ、また来年度以降の現地調査に協力を得られる体制を築くことができた。台湾の研究動向も入手でき、宗教文化のとらえ方が台湾と福建とでは政治的背景により相異することを検討した。 2)廟のネットワークの史料について。本年度経費で清代に編纂された台湾の地方志を一部そろえることができ、このなかの宗教史関連の記述を検討し、すでに持っている廟の碑文などの史料と比べた。台南市内の廟を中心に来歴、活動などの解読と整理を行った。その場合に廟における道士の儀礼の記録に注目しているところである。 3)宗教職能者について。道士の使う儀礼文書を対象として、台南、高雄、台北、新竹、澎湖といった台湾内部の地域的差異を抽出する作業を行った。これにより福建南部で類似の特徴を持つ道士の文書があればすぐに台湾の特定地域の文書との近縁関係を認識できるようになり、これはそうした比較のための基礎作業とみなせるものである。
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Research Products
(1 results)