2003 Fiscal Year Annual Research Report
日中戦争期国民政府の戦時徴発と農村基層社会の構造的変容に関する研究
Project/Area Number |
15520425
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (10196149)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 哲 東京都立大学, 人文学部, 教授 (80144187)
|
Keywords | 日中戦争 / 中国国民政府 / 糧食 / 兵士 / 戦時徴発 / 農村社会 / 社会構造 / 構造的変容 |
Research Abstract |
本研究の課題は、日中戦争期中国国民政府による糧食・兵士の戦時徴発がどのように実施され、どのような矛盾を伴っていたかという点を、中国の社会構造の特質と関連させて明らかにし、次いで、これによって既存の社会がどのような構造的変容を遂げていくかを考察することにある。 本年度においては、研究代表者である笹川裕史が、上述の課題のうち、糧食の徴発をめぐる政策過程を取り上げ、政策の執行過程において歴史継承態としての既存の地方行財政機構や地域社会の構造的特質によって、中央政府の政策決定とは異なる独自な展開を遂げた実態を明らかにした(研究発表欄、参照)。この研究は、中国語に翻訳して国際ワークショップで報告した。また、研究分担者の奥村哲は、中華民国時期全体にわたる中国農村社会の変容を、従来の研究の批判的検討にもとづいて概観し、本研究の対象とする日中戦争期の位置とその重要性を確認した(研究発表欄、参照)。さらに兵士の徴発についても、奥村は基礎的な検討を行い、中国現代史研究会(東京)の例会で報告した。これらは、いずれも本研究の基礎的作業として位置づけることができる。 なお、笹川・奥村両名は、成都の四川省档案館で2週間、台湾の国史館で1週間、関連史料の調査・収集を行った。限られた期間であったため、今後の継続調査に委ねなければならない課題を残したとはいえ、収集した資料群は、本年度に購入した当該期中国の新聞・雑誌類(マイクロフィルム)と併せて、次年度以降の本研究の進展に貴重な材料を提供することになろう。
|
Research Products
(2 results)