2004 Fiscal Year Annual Research Report
日中戦争期国民政府の戦時徴発と農村基層社会の構造的変容に関する研究
Project/Area Number |
15520425
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 教授 (10196149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 哲 東京都立大学, 人文学部, 教授 (80144187)
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Keywords | 日中戦争 / 中国国民政府 / 糧食 / 兵士 / 戦時徴発 / 農村社会 / 社会構造 / 構造的変容 |
Research Abstract |
本研究の課題は、日中戦争期中国国民政府による糧食・兵士の戦時徴発がどのように実施され、どのような矛盾を伴っていたかという点を、中国の社会構造の特質と関連させて明らかにし、次いで、これによって既存の社会がどのような構造的変容を遂げていくかを考察することにある。本年度においては、研究代表者である笹川裕史が、過去2回にわたる国際シンポジウムにおける報告を基礎にして、これに大幅に加筆した「糧食・兵士の戦時徴発と農村の社会変容」と題する論文を公表した。その内容は、とりもなおさず本研究における中間報告に当たる。また、別の論文(「重慶戦時糧食政策の実施と四川省地域社会」)では、戦時糧食政策の展開が当時の四川省地域社会を大きく翻弄していく様相を描き出し、本研究の内容を構成するいくつかの重要な論点を提示した。他方、研究分担者の奥村哲は、「近現代中国における社会統合の諸段階」という論文において、本研究の意義を近現代中国の歴史過程全体の中に位置づける試みを行った。また、奥村の長年にわたる研究をまとめた著書(『中国の資本主義と社会主義』)には、本研究に深く関連する貴重な論考も収められている。以上のように、本年度は、次年度の本科研のとりまとめに向けて、大きく前進したといえる。なお、笹川は2週間、奥村は1週間、成都の四川省档案館で関連史料の調査・収集を行った。限られた期間であったため、次年度も継続調査が必要であるが、収集した資料群は、本年度に購入した当該期中国の新聞・雑誌類(マイクロフィルム)と併せて、本研究の進展に大きく貢献することになろう。
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Research Products
(4 results)