2005 Fiscal Year Annual Research Report
日中戦争期国民政府の戦時徴発と農村基層社会の構造的変容に関する研究
Project/Area Number |
15520425
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 教授 (10196149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 哲 東京都立大学, 人文学部, 教授 (80144187)
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Keywords | 日中戦争 / 中国国民政府 / 糧食 / 兵士 / 戦時徴発 / 農村社会 / 社会構造 / 知識青年従軍運動 |
Research Abstract |
本研究の課題は、日中戦争期中国国民政府による糧食・兵士の戦時徴発がどのように実施され、どのような矛盾を伴っていたかという点を、中国の社会構造の特質と関連させて明らかにし、次いで、これによって既存の社会がどのような構造的変容を遂げていくかを考察することである。 本研究の最終年度にあたる本年度においては、以下のような成果を得た。まず、研究代表者の笹川裕史が、糧食の徴発について、日中戦争期と後の人民共和国初期とを対比させて検討し、前者の時期においても後者の方式に接近していく動きが観察できることを、未刊行の行政文書を使って明らかにした。この成果は、来年度に汲古書院から発行される論文集に掲載する予定である。また、日中戦争期における徴兵制の矛盾克服に向けた諸動向の一つとして、知識青年従軍運動を取り上げ、その意義とともに限界や問題点についても検討した(研究論文は現在、印刷中)。他方、研究分担者の奥村哲は、兵士の売買を中心に当時の徴兵制の根深い矛盾を明らかにし、その背後に社会構造の特質がかかわっていることを指摘した。この成果は、来年度に発表する予定である。 以上、いずれについても、本研究補助金で収集した貴重な史料を利用したものであり、本研究を最終的に取りまとめ、新たな研究課題に発展させる上で重要な論点を含んだ研究成果である。 なお、笹川は、9月4日から10日までほぼ1週間にわたって四川省档案館で関連資料の調査・収集を行った。ここで収集した史料は、本年度の成果に直接役立っただけでなく、今後において本研究をより発展させていくためにも有効に使用されるであろう。
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Research Products
(1 results)