20世紀中国における知識人集団の思想と行動―胡適新文化集団の研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15520428
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 緒形 康 神戸大学, 文学部, 助教授 (40194427)
• Keywords: 知識人 / 胡適新文化集団 / 20世紀中国 / 思想と行動

Research Abstract

本研究は、20世紀という歴史変動期における中国知識人集団の思想と行動を、胡適新文化集団という個別事例を通じて明らかにする試みである。その際、1917〜51年、1951〜78年、1978年〜現在、という3つの時代区分を設け、それぞれの時代における胡適新文化集団の思想と行動に関する分析によって、3時代の知識人集団の共通点と相違点を明らかにすることに重点を置く。
研究の第1年度に当たる本年は、胡適新文化集団そのものの理解を深めるための基礎作りを目指して、以下の3つのテーマの下に調査・研究を進めた。
1 胡適新文化集団の個人データのデータベース化と定量分析を行った。同集団の構成員と考えられる約300名について、その氏名、生年、没年、出身地、学歴、勤務大学・学会、胡適書簡の登場する時期、回数についての情報を整理した。
2 胡適の著作・翻訳・書簡の整理・補充を行った。中国大陸の安徽人民出版社から『胡適全集』全40巻が刊行されたのを受け、同全集に新たに収録された資料と『胡適遺稿及秘蔵書信』所収の「胡適档案」との対応関係を整理した。また、『全集』刊行以前に3種類の資料集に分散収録されていた胡適関連書簡を、新『全集』に基づいて、胡適新文化集団の構成員ごとに編纂し直した。
3 胡適新文化集団に関する著作目録、胡適関連の研究文献目録の作成を行った。同集団の構成員については、徐志摩、張東〓、陶行知、銭玄同、顧頡剛についてその著作を整理した。胡適関連の研究文献目録については、『胡適研究叢刊』に依拠しながら、そこから漏れたものの収集に努めた。
以上の基礎作業の上に、胡適新文化集団の思想と行動に関する考察を、数編の論考にまとめた。本格的な研究と総括は次年度に予定している。

Research Products

• [Publications] 緒形 康: "記憶は抵抗する--駐米大使、胡適の抗日戦争"現代中国研究. 第12号. 14-23 (2003)
• [Publications] 緒形 康: "厳復と籌安会問題"中国--文化と社会. 第18号. 60-83 (2003)
• [Publications] 緒形 康: "思想史を逆さに読む--戴震生誕200周年紀念・清室問題・戴震哲学"中国近代化の動態構造(京都大学人文科学研究所共同研究報告). (未定). (2004)