2003 Fiscal Year Annual Research Report
14世紀〜20世紀初頭の東アジア海域諸国における海外情報の研究
Project/Area Number |
15520440
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松浦 章 関西大学, 文学部, 教授 (70121895)
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Keywords | 海外情報 / 東アジア海域諸国 / 『遐邇貫珍』 / 近日雑報 / ペリー艦隊 / 琉球 / 太平天国 / 上海小刀会 |
Research Abstract |
14世紀〜20世紀初頭の東アジアにおいて中国には明朝と清朝とがあって、朝鮮半島には朝鮮王朝があり、日本では室町幕府、徳川幕府の時代であった。さらに琉球には中山王朝が存在した。これら諸国は、当時の東アジアの相互の国々の動勢に無関心ではなく、様々な方法で海外情報を収集していたのである。そこで本年度は、1853年9月に香港においてメドハースト(W.H.Medhurst)等が刊行した中国語月刊誌『遐邇貫珍』英文名Chinese Serialを取り上げることにした。『遐邇貫珍』は、1856年5月に停刊されるまで全33号刊行された。その毎号に一種のニュース欄として「近日雑報」が掲載されている。この「近日雑報」には当時の東アジア世界の時々刻々のニュースを掲載している。『遐邇貫珍』が刊行されていたのは三年に満たない期間ではあったが、その「近日雑報」欄には、変貌する近代東アジア世界の状況を知る上では重要な記事を掲載している。特に1853年から1856年までの間における東アジアの重要なニュースとしては、アメリカ合衆国がペリー艦隊を派遣し、日本及び琉球へ来航して開国をせまったことに関する情報がある。ことに日米和親条約締結にいたる前後の経緯に関するニュースやまた中国に関しては太平天国の動向や、太平天国に影響されて上海で発生した上海小刀会の乱に関する詳細な情報を記録している。さらに1853年にクリミア半島で勃発したクリミア戦争に関する時々刻々の情報も『遐邇貫珍』の「近日雑報」は掲載しているのである。『遐邇貫珍』はこれまで幕末の日本人にとって重要な海外情報として注視され、その刊本の一部は日本でも知られていたが、今回『遐邇貫珍の研究』(関西大学出版部、2004年1月)において初めて『遐邇貫珍』全号の影印を付し、さらなる研究の便宜に供することにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松浦 章: "清代中国琉球貿易史の研究"榕樹書林. 303 (2003)
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[Publications] 松浦 章: "中国の海商と海賊"山川出版社. 90 (2003)
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[Publications] 松浦 章(共編著): "『遐邇貫珍の研究』「序章:『遐邇貫珍』の世界」、「『遐邇貫珍』の描く近代東アジア世界」"関西大学出版部. 720 (2004)