2004 Fiscal Year Annual Research Report
14世紀〜20世紀初頭の東アジア海域諸国における海外情報の研究
Project/Area Number |
15520440
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松浦 章 関西大学, 文学部, 教授 (70121895)
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Keywords | 清朝 / 明朝 / 朝鮮国 / 琉球 / 台湾 / 鄭經 / 海外情報 / 使節 |
Research Abstract |
14世紀〜20世紀初頭の東アジアにおいて中国には明朝と清朝があり、朝鮮半島には朝鮮王朝、日本は室町幕府、徳川幕府の時代であり、そして南西諸島の内の琉球諸島を支配した中山王朝が存在していた。これらの政権は他国の政治動勢に極めて関心が高く、様々な方法で海外情報を収集していたのである。 本年度は、特に朝鮮王朝時代の海外情報を収集していた実態を究明するとして、清朝の支配下に抵抗した台湾の政治情勢や琉球国の情報を具体的にどのような内容であったかを明らかにした「朝鮮使節の琉球通事より得た台湾鄭経・琉球情報」を上梓した。清朝前期の中国の政治体制が不安定な時期の情報を朝鮮国は、北京で会った琉球国の通事から情報収集していた。康煕20(1681)年末から康煕21(1682)年の初めに北京に赴いた朝鮮国の使節が得た台湾鄭經に関する情報や、琉球国に関する情報は、この同じ時期に、清朝へ朝貢に赴いて北京に滞在していた琉球使節の通事として北京に同行していた福建人の通事より得た情報であったのである。朝鮮使節は北京の會同館に宿泊したが、自由に接触できる状況ではなかった。そこで朝鮮国は福建人の琉球通事から書状の方法で、鄭經側や琉球国の情報を入手したのであった。とりわけ朝鮮国側は、台湾の鄭經側が漸次中国大陸から撤退し台湾に孤立するに至る大きな分岐点の事件の情報を得ていた。 さらに明朝は朝貢という方法で海外諸国の来航を認めていたが、その際に彼らの情報を得るための通訳には、中国人でなんらかの理由で海外に逃亡した人物が多かったことを論証した「明代海外諸国の通事について」を上梓した。
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Research Products
(3 results)