2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520445
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 昌史 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20242993)
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Keywords | 住宅問題 / 都市化 / 市民層 / ベルリン / 比較史 / 都市問題 / 郊外 / 国家 |
Research Abstract |
本年度は、近代ドイツ社会史関係の史料の豊富な京都大学付属図書館および経済学部図書館で史料調査を3度にわたり行う一方、ヨーロッパ諸都市の地図集などを購入して史料の補充を行いつつ、次のような研究を進めた。本年度の研究の中心は、1871年のドイツ統一前後の時期の住宅改革構想を検討することであった。この時期はフリートリヒ・エンゲルスの『住宅問題』(1872年)をはじめ、住宅改革や都市問題を扱う文献に、従来の議論の次元を超えその後の住宅改革運動を規定するような発想がみられるようになる。従来の研究が正面から取りあげてきたとはいえないこの時期の住宅改革関連文献を丹念に読み進む作業を行い、世紀中葉の住宅改革構想と比べてどのような点で異なっているかを現在明らかにしつつある。検討結果については現在公表すべく原稿を準備中である。また、前年度に行ったドイツ最初の住宅改革の試みであるベルリン共同建築組合の総会の議事録(1850年代から1870年代)の分析をまとめ、これについても論文を準備中である。他方、年来研究を進めてきた1820年代から1870年代までの住宅改革運動の歴史的位置づけを明確にすべく、19世紀ドイツの住宅改革運動全体の歴史的展開を見通す作業を開始し、その一端は2004年5月30日の社会経済史学会第73回大会(大阪市立大学)の「パネル・ディスカッション 西欧における住宅改革の比較史的考察--19世紀半ばから20世紀半ばまで--」で「19世紀半ばから第1次大戦までのベルリンにおける住宅改革運動」というタイトルで報告した。他に、住宅問題の背景となる都市社会の状況を解明すべく、19世紀前半のベルリンの市民都市の名誉職の関係に関して分析を進め、論文を『奈良史学』(奈良史学会発行)に公表した。
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Research Products
(2 results)