2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代フランス農村における社会的結合関係の変革と多様化
Project/Area Number |
15520450
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
槙原 茂 島根大学, 教育学部, 教授 (00209412)
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Keywords | 農村社会 / 社会的結合関係 / 農民作家 / エミール・ギヨマン / 組合 / アソシエーション / 共同性 / 文化変容 |
Research Abstract |
20世紀初頭に農民作家エミール・ギヨマンがかかわったブルボネ地方農民組合について、その生成過程、活動内容、運動の推移、他のアソシアシオンとの関係等を論じながら、フランス農村のソシアビリテの変容を跡づけた。この組合運動は、地主や富農など地方名望家ではなく、零細な小作農自身が主体となった運動であった点、さらには農民自身が活字史料を残している点で当時としては希有な例だった。したがって、運動が生起した背景や発展の経緯のみならず、関連して、国民国家確立期の学校教育、読み書き能力習得の意味、地方農民が生きていた時間=歴史の複合性、ソシアビリテの変容などの社会・文化史的領域までも視野に収めることができた。この成果は、著書1で発表する。 さらに上記テーマに関連して、ギヨマンの文通、組合活動を通して「独学者」「在野の教師」の側面に着目しながら、当時叢生していたさまざまなアソシアシオンの意義、ギヨマンを中心に形成された文通網によるコミュニケーションの意義を明らかにしつつある。この成果は、2005年5月15日に行われる日本西洋史学会第55回大会近代史部会で発表する予定である。 また、アンシャン・レジーム末期の信心会の実態から、20世紀初頭の農業組合運動まで、フランス農村におけるソシアビリテの長期的な変容過程を整理する作業も並行して行い、成果の一部を雑誌論文1として発表する。 なお、本研究課題に深く関連する最新の研究成果である、伊丹一浩著『民法典相続法と農民の戦略-19世紀フランスを対象に』(2003年)の書評を論文2として発表する。
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Research Products
(3 results)