2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520456
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
楠 義彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (20234429)
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Keywords | 国教忌避者 / ランカスタ |
Research Abstract |
(1)資料調査-今年度はランカスタを在とするBlundell家がいつから、またいかなる家系の家であるかを検討するため、Calendar of State Papers, DomesticやActs of the Privy Council of England、またChetham Society, Old SeriesとNew Series、Victoria History of the County of Englandにおける記述を拾い出した。その結果、Blundell家は少なくとも13世紀から当地に存在していたこと、さらに周辺のNorris家やMolineur家と二重三重の姻戚関係にあったこと、しかしランカスタ以外の地域にはほとんどその足跡を残していないことが明らかとなった。この意味でBlundell家は典型的な小貴族であり、政治権力からの恩顧のあり方がこの家の盛衰を規定していたものと考えられる。 (2)現地調査-Blundell家の所領であったLittle Crosbyを実際に訪問し、この地の環境について調査した。同地域は現在でも僅か数十戸しか人家がない閑散とした地域で、一面背の高い潅木が集中する荒地であるとともに、海岸から僅か数キロという交通の便も備えた地域である。つまり国教忌避者の探索は困難であるが、国教忌避者自体は移動が可能であるという隠れ家に適した地域であることが見て取れた。今も国教会の教会はなく聖メアリ・カトリック教会が19世紀に建てられたカトリック地域である。 (3)成果公開-以下の2点がこれに該当する。(1)講演「国教強制から共生へ-イングランドの場合-」(西洋史研究会公開講演会並びにシンポジウム『宗教改革はひとびとを引き裂く-ともに生きる道の模索-』仙台市博物館ホール、9月25日)。(2)論文「エリザベス時代におけるレキューザンツ(Recusants)の形成と変容」(「11.研究発表」参照)。
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