2004 Fiscal Year Annual Research Report
北米におけるマイノリティーの第一次大戦参加と市民権獲得に関する研究
Project/Area Number |
15520457
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
高村 宏子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (40216792)
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Keywords | 第一次大戦 / 市民権 / アメリカ合衆国 / カナダ / 女性 / 先住民 / 日系人 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歴史的、文化的に多くの共通点をもつ米国、カナダで第一次大戦後に市民権を獲得した女性、先住民、日系人に焦点を絞り、彼ら/彼女らの軍隊参加や戦争貢献が市民権の獲得にどのように影響したかについて明らかにすることにある。平成15年度には米国、カナダの女性を中心に研究をすすめたが、平成16年度は先住民の戦争参加と市民権の問題に重点を置きつつ、米国の日系人については主に目系新聞を利用して戦争参加をめぐる彼らの意識や日系社会の反応を調べた。先住民の場合、女性や日系人と違って、戦争参加の動機や目的も多様で、市民権の獲得に積極的な先住民がいた一方、市民権に対して消極的もしくは拒否の立場をとる先住民も少なくないことが明らかになった。このことから、本研究のテーマに関して先住民を一括りにして扱うことの危険性が一層明らかになった。一方、日系人の場合は移民のなかでも市民権の獲得にもっとも熱心な集団で、戦争参加と市民権獲得の関係を証明することができると同時に、人種差別の問題との関連で論ずることによって、戦争参加が市民権獲得に直ちに結びつくとは限らないことが明らかになる。ただし、米国における資料調査が先方機関の事情により延期されたため、米国先住民、日系アメリカ人の大戦帰還兵に関する詳細を明らかにすることは出来なかった。
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