2004 Fiscal Year Annual Research Report
小規模墳の消長に基づく古墳時代政治・社会構造の研究
Project/Area Number |
15520473
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤澤 敦 東北大学, 大学院・文学研究科, 助手 (00238560)
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Keywords | 古墳時代 / 小規模墳 / 政治構造 / 社会構造 |
Research Abstract |
本研究は、大規模な首長墓の動向だけでなく、小規模墳の消長に着目することで、古墳時代の政治・社会構造を新たな側面から明らかにしようとするものである。小規模墳の実態に基づいた分析のため、各地域の資料実態の把握を進めたが、その中でも今年度の重点的な検討対象として、千葉県域を選定した。千葉県域は、古墳群や隣接する集落全体にまで及ぶような、大規模調査事例が多い。これらの事例を検討することから、小地域内における古墳時代の墳墓総数や、住居総数などを推定し、地域社会構造を復元する、モデルケースとなりうる見通しを得た。また、昨年度に引き続き、東北地方を代表する群集墳である宮城県台町古墳群の測量調査を行い、時期の異なる中小円墳が隣接して築造されていく様相を明らかにした。 古墳時代の小規模墳については、かつて後期群集墳が、共同体の分解と家父長的家族の形成に関連させて議論された。しかし後期群集墳より前の段階から小規模墳が広く存在することが明らかとなりって以降、古墳研究においては、家族論・共同体論は重視されなくなってしまった。しかしながら、古墳時代の社会構造、それを基盤に成立した政治構造を検討するにあたっては、古墳時代の家族やそれをとりまく共同社会の分析は避けて通れない。古代史学においては、律令期の戸籍・計帳などの文献史料に基づく長年の研究の積み重ねと、新たな展開もある。このような古代史学における研究成果と、小規模墳の動向から見た古墳時代社会構造の検討を、対比させて統一的に把握するため、理論的課題の整理を行った。
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Research Products
(1 results)