2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520475
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
木下 正史 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70000487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 茂光 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90134759)
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Keywords | 都城と水運利用 / 堀川 / 狂心の渠 / 東市・西市 / 市杵島神社 / 木工寮 / 津 / 地方官衙と水運利用 |
Research Abstract |
1、飛鳥・藤原・難波・平城・平安の諸京について内陸水運関連考古資料・文献史料の収集、分析を重点的に進めた。飛鳥の都に関連しては、推古朝・舒明朝における人の移動、物資の輸送、百済大宮・大寺などの建設資材の搬入における大和川水系河川利用の恒常化、斉明朝における「狂心の渠」等の運河掘削による大和川水系河川利用の拡大と宮都建設資材の水上輸送の本格的化を明らかにし、斉明朝における水運の展開が飛鳥の「京」の成立や都づくりの画期と相関することを明らかにした。本格的な都城が成立した藤原京では、大和川水系小河川の幹線道路に沿わせての直線流路への改修、この改修河川への大規模運河の接続などを核とした水運網の整備が進み、大きな画期であることを明らかにした。これは市の占地、屎尿処理を含めた道路側溝などによる排水路網をいかに整備するかといった都城計画の根幹に関わることを明らかにしつつある。 2、平城京・平安京については、堀川の開削や河川改修が東西市や木工寮の占地、屎尿処理を含む排水路網の整備と深く関わるのみでなく、洪水対策とも相関して大規模に、構造的に整備され、それは藤原京での摸索を継承しつつ、さらに大きく展開させた画期であることを明らかにした。さらに、平城宮・京における木津川利用と港湾施設としての泉木津の整備、長岡京・平安京における淀川水運の利用と外港施設としての山崎津・淀津の整備状況についても解明を進めた。 3、地方の官衙・寺院と水運利用との関わりについては、主に国郡衙、国分寺・郡寺に関わる資料を収集・整理した。例えば、陸奥国磐城郡衙と郡寺である夏井廃寺の占地や建設については、夏井川の水運利用が極めて重要な役割を担い、立屋津やその管理者・津長の存在など、水運利用の組織的整備を明らかにするなど、多くの新知見を得た。 4、英国等において古代日本・中国・朝鮮諸国の水運関係資料の収集・整理に着手した。
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