2004 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代における地域社会と遺跡群の形成過程に関する構造的研究
Project/Area Number |
15520482
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 助教授 (10221730)
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Keywords | 縄文時代後・晩期 / 遺跡群 / 奥谷型環状遺丘集落 / 環状盛土遺溝 / 土器塚 |
Research Abstract |
今年度は研究対象地とした下総台地に位置する千葉県佐倉市曲輪ノ内貝塚の発掘調査を実施した。 曲輪ノ内貝塚は印旛沼南岸に形成された縄文時代後晩期を中心に形成された遺跡群の中核を占める遺跡のひとつである。この遺跡は近年の縄文時代研究において、「環状盛土遺構」と呼ばれ、祭祀スタジアムなどと評価される遺跡と酷似している。しかし、申請者はすでにこの評価に対しては集落址として考えるべき点を指摘し、「環状盛土遺構」は谷奥型環状遺丘集落として提唱した後晩期の典型的な集落形態のひとつであると考えている。今回の発掘調査によって、その形成過程を解明することは「環状盛土遣構」の性格を解明するだけではなく、当該期遺跡群の成り立ちを解明する上できわめて重要な意味をもつ。なぜならば、当該地域には10km圏内に類似遺跡が7箇所も存在することが申請者のこれまでの分布調査によって明らかにされているからである。 調査はこの遺跡の特徴でもある環状の高まり部分を中心にして実施し、発掘の結果、調査区内において縄文時代中期から後期・晩期にかけて構築された貯蔵穴な住居址、埋葬人骨などを検出した。ここれらの調査によって、本遺跡が長期にわたり継続して営まれた巨大な集落址であることが判明し、同時に遺構や遺物や包含層の堆積状況などから、谷奥型環状遺丘集落の構造を解明するための重要な資料を得ることができた。 次年度以降においては、これらの記録や山上遣物の整理をおこない、本遺跡の実態を解明し、周辺地城をも含めた遺跡群の構造を検討したい。
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Research Products
(3 results)