2004 Fiscal Year Annual Research Report
「身装」画像のディジタルアーカイブ化に係る研究-日本の近代化の過程において
Project/Area Number |
15520528
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
高橋 晴子 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 助教授 (10247885)
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Keywords | 身装 / 服装 / 服飾 / 近代 / 明治 / ディジタルアーカイブ / データベース / 美人 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代化にともなう文化の変容を、近代日本の「身装」画像の態様を中心に解明し、関連画像のディジタルアーカイブ化をはかり、インターネット上で公開することである。対象とする期間は、明治維新以降、約100年間である。この期間は、わが国の衣生活において、和装生活と洋装生活が拮抗する特異な期間であった。ディジタルアーカイブ化の対象となる資料は、人がある情景のなかで装っている画像、約2万枚である。 今年度、とくに取り組んだ問題はつぎの通りである。 1)本ディジタルアーカイブの時系列からの検索のために、身装電子年表の構築を企画し、プロトタイプを作成した。対象とした年代は、明治期のなかでも、衣生活に関する重要な課題がとくに集中した1886年〜1894年である。本電子年表では、一般の総合年表における風俗の事柄に関する記述の不備な点を指摘し、3つの欄-<事件>、<現況>、<回顧>に区分して身装にかかわる事柄を記述することを提案している。採録の対象となるおもなデータは、国立国会図書館所蔵の当時の大新聞、小新聞の記事である。データを収集・分析することを通じて、記載のための選択基準も同時に明らかにすることができた。なお、本電子年表においては、必要に応じて、新聞記事全文を画面上に提示することができる。さらに、各年の標準風俗画像を提示できるようにした。画像の種類は、"景観""未婚女性""既婚女性""男性""子ども""美しいひと像"である。年表で代表的な画像を閲覧し、それ以上の画像を必要とするときは、本体のディジタルアーカイブにリンクが可能である。このプロトタイプのシステムは、ファイルメーカプロのWebコンパニオンで開発し、本ディジタルアーカイブとともにWeb上で公開する予定である。 2)本ディジタルアーカイブのデータソースのひとつとして、画像とテキストが一体となった挿絵の指示性の高さに注目し、その有効性を明らかにした。さらに当時の小新聞を中心に連載小説の挿絵を収集・分析し、現在ディジタル化を進めつつある。対象とした時期は、草双紙の流れを汲む<絵解き>の要素が色濃く残っていた、また熟練した多くの挿絵画家が活躍した1880年代後半から1890年代末におよぶ10年間である。 3)近代日本における、身装の延長線上にある<美しいひと>15類型に含まれる画像データを、目、鼻、口などの各パーツを整理・分析することによって、それぞれの時代を代表する美しい顔のインデックスも可能ではないかと、現在模索中である。来年度の課題のひとつとしたい。
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