2005 Fiscal Year Annual Research Report
「身装」画像のディジタルアーカイブ化に係る研究-日本の近代化の過程において
Project/Area Number |
15520528
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
高橋 晴子 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 助教授 (10247885)
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Keywords | 身体 / 装い / 身装 / 服装 / 服飾 / 衣 / 文化変容 / 近代 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代化にともなう文化の変容を、近代日本の「身装-身体と装い」画像の態様を中心に解明し、関連画像のディジタルアーカイブ化をはかり、インターネット上で公開することである。また、身装-身体と装い-の延長線上にあり、身装の問題を扱うには避けては通れない<美しいひと>についても、そのときどきの文化との関係から考察し、<美しいひと>像のディジタルアーカイブ化の可能性を考えたい。さらに、関連画像の背景となる社会の様相を年表形式で表し、画像との有機的な関連をはかりたい。ディジタルアーカイブ化の対象となる画像資料は、約2万枚であり、年表資料は大新聞、小新聞を中心とする同時代資料である。なお、対象とする期間は明治維新以降、約100年間である。 上記の目的にそって、今年度は、1)画像データの内容分析、および2)ユーザーインタフェースとしての電子年表の作成を計画した。 1)画像データの内容分析 収集した画像について、画像内容の事実性(事実関係)を確認し、策定した検索項目にそって分析を行った。さらに、1880年代後半〜1890年代末にかけては、大新聞および小新聞掲載の連載小説の挿絵に目をつけ、それをおもな採録の対象として内容分析を行った。とくにこの時期に限定して連載小説の挿絵を利用するのは、挿絵にはテキストを伴っているという利点以外に、小説の作者がいわゆる"衣装づけ"に熱心であり、それに忠実に、また詳細な表現技法を用いて挿絵が描かれているためである。挿絵の収集・分析は国立国会図書館での仕事が中心となった。 2)ユーザーインタフェースとしての電子年表の作成 本ディジタルアーカイブを時系列から検索するための電子年表のプロトタイプの構築をすすめた。必要に応じて、新聞記事全文および代表画像を閲覧できる電子年表を意図している。そのためには、国立国会図書館所蔵の大新聞、小新聞の精査が必要であった。 以上の研究を核として、ディジタルアーカイブと電子年表の、それぞれのプロトタイプの充実をはかることができた。また、この成果の副産物として今年度は、著書『近代日本の身装文化-身体と装いの文化変容』(三元社2005年463p.)が刊行された。本書は3部構成になっており、第1部第2章で挿絵論を大きくとりあげることにより、近代日本の身装に関するデータ論を越え、文化論までの高まりを見せている。ただし、あくまでもデータベース構築者の視線から見た文化論であるため、身装の個々のアイテムについても具体的な様相が浮き彫りにされている。
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