2003 Fiscal Year Annual Research Report
法的サンクションによる医療事故予防効果についての法社会学的研究
Project/Area Number |
15530008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 仁孝 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80183127)
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Keywords | 医療事故 / ADR / リスクマネジメント / 訴訟 |
Research Abstract |
本年度は、3年間の研究計画の初年度にあたるため、次年度以降の海外における質問票調査のための、予備ヒアリング調査を中心に行った。 海外では、現在、医療事故紛争処理領域に無過失賠償責任システムを導入する可能性につき検討しているユタ州、およびコロラド州において、Medical Counsel, Medical Associationおよび弁護士会などでヒアリングを行った。ここでは、スウェーデンのモデルを導入した場合の、訴訟の減少、総賠償コストの変容などのシミュレーションが行われており有益な示唆を得た。すでにアメリカでは、いくつかの州で診療科によっては保険料高騰のため医師免許の更新をしない医師も現れており、再び危機的な状況に陥りつつある。こうしたユタ、コロラドでの検討は、フロリダ州での新生児CP救済制度などの現況を踏まえて、ひとつの可能性を示すものといえよう。 また、国内では、医療事故防止、事故対応について先進的な取り組みを行っている病院、熊本済生会病院、八尾総合病院、横浜市立大学附属病院などにおいてヒアリングを実施したほか、医療事故に直面した患者側、医療者側双方への個別のインタビューも実施した。そこでは、異常死発生時の手続きにかなりの改革が見られるものの、なお、制度的な障壁も存在し、今後より詳細な検討が本研究でも課題となろう。 次年度以降は、質問票調査の実施へ向けて、さらに国内・海外でのヒアリングと予備質問票調査を実施する予定である。 本年度得られた知見については、すでにいくつかのシンポジウムで報告したほか、いくつかの小論を発表している
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Research Products
(2 results)