2004 Fiscal Year Annual Research Report
絶対王政期フランスにおける地方の治安維持に関する研究
Project/Area Number |
15530009
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
正本 忍 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (60238897)
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Keywords | マレショーセ / 治安 / 裁判 / 軍隊 / フランス / アンシャン・レジーム / 絶対王政 / ノルマンディー |
Research Abstract |
まず、陸軍歴史課古文書館(フランス・ヴァンセンヌ市)所蔵の史料に基づいて、18世紀前半におけるオート=ノルマンディー地方のマレショーセの隊員(班の指揮官及び騎兵)名簿を作成し、資料紹介"Liste des hommes de la marechaussee en Haute-Normandie(1720-1750)"として公刊した(『総合環境研究』、長崎大学環境科学部、第6巻第2号、2004年6月、81-131頁)。本稿は、国外の研究者にも資料として参照されるべく、フランス語で書かれている。当該資料を分析した論文を現在、執筆中であり、来年度前半には学会誌に投稿する予定である。この作業と併行して、プレヴォ裁判(マレショーセの裁判部門)を担った将校及び裁判役人のリストを作成し、彼らの就任条件・手続、職務内容、勤務実態などにアプローチしている。 また、昨年9月、七隈史学会(於福岡大学)で「マレショーセと地域住民-民衆による国王権力の受容に関する一考察-」と題して研究報告を行った。マレショーセは田園地帯と幹線道路の治安維持を担当する警察組織かつ裁判組織であり、したがってローカルな民衆世界と国王権力が接する最前線に位置する。当該報告では、一方で国王権力の強制力としての側面を持ち、他方で民衆世界の安全・平和の擁護者の側面を持つマレショーセを民衆がどのように捉えていたかという問題について検討した。しかし、数少ない事例に基づいた論証の仕方などいくつかの問題点を指摘され、現在、書き直しているところである。 その他、昨年8月から9月にかけてフランスのパリ及びルアンの古文書館で補充史料の収集を行った。
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