2004 Fiscal Year Annual Research Report
主要〈文明社会〉の法の比較史的研究-西欧・中国・日本等における土地法-
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15530011
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
水林 彪 東京都立大学, 法学部, 教授 (70009843)
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Keywords | 西欧 / フランス / 中国 / 日本 / 土地法 / 民法 / 土地取引 / 共同体 |
Research Abstract |
本年は、西欧・中国・日本の、土地法を中心とする比較法的研究に取り組み、その成果を発表した。主たる論文は、次の二編である。 (1)「土地所有秩序の変革と「近代法」」(『日本史講座』近代1、東京大学出版会、2005年) (2)「西欧法の普遍性と特殊性-比較法史学的考察-」(『比較法研究』65号、2004年) (1)は、日本近代の土地法とくに土地取引法の特質を、西欧近代法および中国古代法との比較において論じた。日本近代の土地法取引法の特質は、何よりも、この時代に始めて、農村の田畑土地取引の自由が成立したことにある。農地の永代売買を許容しない共同体の時代から、許容する土地商品化社会への移行が、明治初年の国制改革によってなされたのであった。かかる共同体から土地商品化社会時代への移行は、西欧(フランス)では17世紀の頃、中国では早くも紀元前になされた。西欧と中国は、かかる社会構成の転換をそれぞれに自生的過程として経験したが、その法形態は対蹠的なものであった。対して、わが国の共同体から土地商品化社会への転換は、外圧に始まり、上から強行的になされたものであった。この歴史的特質が、日本土地取引法のあり方にどのように刻み込まれたのか、これを論じたのが(1)論文である。(2)は、上記のことをふまえ、問題をやや抽象化して、中国との比較において、西欧の法のあり方の特質を全体として論じた。
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Research Products
(2 results)