2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530012
|
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
苑田 亜矢 北海学園大学, 法学部, 教授 (80325539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 眞一 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (10164112)
|
Keywords | ベケット論争 / 王権 / 教権 / イングランド / 中世 / 12世紀 |
Research Abstract |
12世紀後半イングランドで生じた国王ヘンリ二世とカンタベリ大司教トマス・ベケットの間の有名な論争である「ベケット論争」の法的・歴史的意義を、後者によって書かれた書翰の分析を通して再検討することにより、当時の王権と教権の関係について新たな光をあてて、「ベケット論争」を評価し直すことを目的とする本研究において、本年度に達成できた諸点の概要は以下に示す通りである。 本年度は、前年度に行なったトマス書翰の残存・伝来状況についての分析を踏まえて、第一に、トマス書翰の中でもとくに重要な一通である「フラテルニターティス・ヴェストレ」書翰についての内的分析の成果の一部を、2004年9月に「フラテルニターティス・ヴェストレ(翻訳と解説)--カンタベリ大司教トマス・ベケットの書翰--」『北海学園大学法学研究』第40巻第2号(研究代表者と研究分担者による共著)において公表した。本稿の内容は、本年度までに慎重に行なってきた当該書翰の翻訳に、書翰の発給者であるトマス・ベケット、書翰が発給された背景、写本の伝来状況、そして書翰の内容についての解説を加えたものである。 第二に、トマス書翰の中で重要なもう一通である「ミランドゥム・エト・ヴェヘメンテル」書翰の内的分析・検討にとりかかることができた。当該書翰についても、長大であるのみならず、内容的にも高度のレトリックが用いられているため、慎重に作業を進めている。この書翰の翻訳作業については、来年度中に完了させて公表する計画である。 第三に、「ミランドゥム・エト・ヴェヘメンテル」書翰の内的分析・検討に併せて、当該書翰の残存写本の検討を行うために、イングランドに出張し、オクスフォド大学ボドリアン図書館等に保管されている写本の閲覧・調査を行なうことができた。
|
Research Products
(1 results)